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    <title>妄蒼蓄</title>  
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    <description>サイト「Condition-DEEPBLUE」の小ネタ二次創作の場</description>  
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    <dc:creator>DEEPBLUE</dc:creator>  
    <dc:date>2008-05-27T05:16:20+09:00</dc:date>  
    <dc:language>ja</dc:language>  
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  <item rdf:about="http://blog.so-net.ne.jp/condition_deepblue/2008-05-27"> 
    <title>更新情報</title>  
    <link>http://blog.so-net.ne.jp/condition_deepblue/2008-05-27</link>  
    <description><![CDATA[<p>やっつけでも何でも、とりあえずこれを終わらせなきゃ先へ進めないと。何とか、サクラ大戦の連載を終了。もはや、もう読んでくれる人がいるとかいないとかいう問題じゃなく、ページ閉じるにせよ何か別の物を書き出すにせよ、いつもこれが心の枷でした。頭っから全部やりなおしてちゃんと整合性つけたいとか、外伝も一本くらい書きたいとかあるけれど、ひとまずはこれで区切りです。一応、直リン張っときますね。↓●それから、もりたさんに正月頂いた午後ティー。ほんま遅くなって申し訳ありませんでした。こっちの方が、きっと楽しみにしてる人は多いでしょう。こちらも、直リンをば。↓●</p>]]></description>  
    <dc:subject>ネタ等</dc:subject>  
    <dc:creator>DEEPBLUE</dc:creator>  
    <dc:date>2008-05-27T05:16:20+09:00</dc:date>  
    <content:encoded><![CDATA[
やっつけでも何でも、とりあえずこれを終わらせなきゃ先へ進めないと。<br />何とか、サクラ大戦の連載を終了。<br />もはや、もう読んでくれる人がいるとかいないとかいう問題じゃなく、ページ閉じるにせよ何か別の物を書き出すにせよ、いつもこれが心の枷でした。<br />頭っから全部やりなおしてちゃんと整合性つけたいとか、外伝も一本くらい書きたいとかあるけれど、ひとまずはこれで区切りです。<br />一応、直リン張っときますね。<br />↓<br /><a href="http://www.geocities.jp/condition_deepblue/sakura.html" target="_blank">●</a><br /><br />それから、もりたさんに正月頂いた午後ティー。ほんま遅くなって申し訳ありませんでした。<br />こっちの方が、きっと楽しみにしてる人は多いでしょう。<br />こちらも、直リンをば。<br />↓<br /><a href="http://www.geocities.jp/condition_deepblue/negapoji.html" target="_blank">●</a><br /><br /><br /><a name="more"></a>
]]></content:encoded> 
  </item>  
  <item rdf:about="http://blog.so-net.ne.jp/condition_deepblue/2007-09-27"> 
    <title>プレゼントと、春の花火</title>  
    <link>http://blog.so-net.ne.jp/condition_deepblue/2007-09-27</link>  
    <description>なのは×ヴィータがお好きな方に捧げる。私もついに、×印がつくようなＳＳデビューですよ！基本、ぬるい萌えＳＳの域を出ていないようなもんなので、なのは×ヴィータなら不味い料理でも食えるという方だけ先にお進みください。帰ってよ。あと、当ＳＳの各キャラはほどよく壊れておりますが、まあ今更ですよね。</description>  
    <dc:subject>リリカルなのはＳＳ</dc:subject>  
    <dc:creator>DEEPBLUE</dc:creator>  
    <dc:date>2007-09-27T22:36:47+09:00</dc:date>  
    <content:encoded><![CDATA[
<P>なのは×ヴィータがお好きな方に捧げる。<BR>私もついに、×印がつくようなＳＳ<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%83%87%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">デビュー</a>ですよ！<BR>基本、ぬるい萌えＳＳの域を出ていないようなもんなので、なのは×ヴィータなら不味い<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E6%96%99%E7%90%86&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">料理</a>でも食えるという方だけ先にお進みください。帰ってよ。<BR>あと、当ＳＳの各キャラはほどよく壊れておりますが、まあ今更ですよね。<BR></P>
<P><a name="more"></a></P>
<P>&nbsp;</P>
<P><BR>　承前</P>
<P>　どうも最近。うちの可愛い末っ子には、気になる相手があるらしい。<BR>　食卓の団欒にも、彼女の口からはよくその名が出る。彼女は自分でも気づいてないようだが、はたから見れば歴然だ。<BR>　もちろん、可愛い我が子に好きな人が出来たりするのは、親離れされるようでいささか寂しい。けれども、我が子が好きだというのなら、それを越えて叶えてやりたいのもまた親心。<BR>　相手は、自分も良く知る人物だ。<BR>　好人物の、人気者。はっきり言えば、モテモテだ。ライバルは多い。その中でも特に強力な、一人の顔が思い浮かぶ。正直、壁は分厚い。<BR>　けれど、一人の母として。たとえいくらか強引な方法をとってでも、やはり我が子には幸せになってもらいたいのである。<BR>　そうだ。今ならちょうどいいことに、ちょうどいい<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%82%A4%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%88&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">イベント</a>が間近に控えているではないか。<BR>「……なぁ、ヴィータ」<BR>「ん～？　なんだ、はやて？」</P>
<P>&nbsp;</P>
<P>　　　<STRONG><FONT size=5><a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%BC%E3%83%B3%E3%83%88&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">プレゼント</a>と、春の<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E8%8A%B1%E7%81%AB&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">花火</a></FONT></STRONG></P>
<P>&nbsp;</P>
<P>「なのは、<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E8%AA%95%E7%94%9F%E6%97%A5&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">誕生日</a>おめでとう」<BR>「なのはちゃん、おめでとう！」</P>
<P>　みんなが心からの笑顔でくれる祝福に、私も一つ一つ笑顔を返す。<BR>　今日は、私の１６回目の誕生日。<BR>　昔は海鳴の実家で、家族と一緒にお父さんお母さんの美味しい<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%AD&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">ケーキ</a>で祝ってもらっていたのだけど、中学を卒業してこのミッドチルダの宿舎に住むようになってからはなかなかそれも叶わなくなっている。それなら、とお父さんお母さんは、今度は毎年この日に合わせて、ケーキを作ってこっちに送ってくれるようになった。地球に駐留する<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E6%B4%BE%E9%81%A3&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">派遣</a>員さん（といっても、れっきとした地球の人なんだって）宛に送れば、荷物とかはちゃんとこちらへ転送してくれる仕組み。<BR>　１6本のロウソクの火を吹き消して拍手をもらったあとは、<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%88&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">フェイト</a>ちゃんを始めとしてシグナムさん、シャマルさん、ザフィーラさん、リィンちゃんと、次々にプレゼントを手渡してくれた。フェイトちゃんのプレゼントは、素敵な<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">デザイン</a>のネックレス。フェイトちゃんの持ってるのと、お揃いなんだって。<BR>　友達はみんな仕事が忙しくて、さすがに全員集合とはいかなかったけど、クロノ君からはエイミーさんと連名で花束が届いている。ユーノ君からは昨日直接、電話でお祝いの言葉を貰った。<BR>　そして――<BR>「なのはちゃん、私からのプレゼントはこれや！」<BR>　何故か鼻息も荒く、自信満々に胸を反らせてはやてちゃんが指したのは――リボンに包まれた、何だかとても大きな箱。それこそ、子供一人くらいはすっぽり入ってしまいそうな……<BR>……コドモ？そういえば、この場には予定の人数にあと一人が足りない。もちろん、始めから気づいてはいたんだけど、仕事で遅くなっちゃっているのかなと思ってたんだけど――まさか。<BR>「リィン！ボックスオープンやっ！」<BR>「はいですぅ！」<BR>　指を鳴らすはやてちゃんに応えて、リィンちゃんがリボンの端を引っ張り上げる。<BR>　上下左右、ぱっかり開いた箱の中には。<BR>　予想通りと言おうか、ある意味予想したくなかった結果と言おうか。リボンで身体中を縛られたヴィータちゃんが、ちょこんと座っていた。<BR>　はやてちゃんとシャマルさん、リィンさんがわー、と口でいいながら、ぱちぱちと拍手する。シグナムさんは壁の方を向いちゃってる。ザフィーラさんに至っては、狼モードになって寝たフリをしていた。あの、知らんぷりしてないで。誰ですかこれの責任者。ああ、責任者ははやてちゃんか。じゃあ駄目だ。<BR>「ううう……」<BR>　ヴィータちゃんは、さすがに裸なわけじゃなくて、お人形さんみたいなフリフリのドレスを着た上で真っ赤なリボンに包まれている。手も足もリボンに縛られちゃってるから、座ったままの状態で身動きが取れない様子。恥ずかしげにうつむかせた顔を真っ赤にして、ちょっと目に涙を浮かべちゃってるところなんかは、うん、まあ確かにものすごく可愛いんだけれど。<BR>「自慢のうちの子や。嫁に出すんは寂しいけど、なのはちゃんとこやったら安心できる。しっかり幸せにしたってや」<BR>「ええっ！？よ、よ、嫁っ！？ヨメって、お嫁さん！？」<BR>　なんだろう。何を言ってるんだろう、はやてちゃん。嫁？<BR>　常に冷静な判断力が要求される、空戦魔導士。そのために私たちは、あらゆる状況を想定した訓練を受けてきた。が、さすがにこんな状況を想定したプログラムはない。ということは、この事件は管理局も今まで遭遇したことのない大事件だ！私もお嫁さんになることを夢見たことはあっても、さすがにお嫁さんを貰う場面を想像したことはちょっとない。<BR>「ちょ、ちょっ、はやてちゃん。ちょっと私には、はやてちゃんが何を言ってるのか」<BR>「……うん、わからないなあ……」<BR>　私の声にかぶる、聞き慣れたはずの声の、聞き慣れない冷たさに私は顔を青ざめさせる。<BR>　振り向いた先にいるフェイトちゃんは、すでにソニックモードだった。<BR>（うわぁーい……フェイトちゃん、始まる前から全力全開だよー！？）<BR>「なんやフェイトちゃん。あんま最初っからクライマックスやと、底が知れてまうでぇ？」<BR>　今度は、任侠映画の姐さんみたいな低い関西弁。振り向くとはやてちゃんは、もうリィンちゃんとフュージョン済みだった。この平和なミッドチルダの私の部屋に、今まさに訪れる局地災害クラスの魔力が二つ。勘弁して欲しかった。<BR>　けれど私の親友二人、お互いもそれぞれ親友同士であるはずの二人は、こちらはまったく勘弁してくれる様子もなく視線の火花を散らしている。フェイトちゃんなんか、これは比喩ではなく身体中から火花を散らしてる。<BR>「はやて。冗談にしとくなら今のうちだよ……」<BR>「舐めんなや。母は子のため、関西人は笑いのためにいつでも命（タマ）ァかけとんのや」<BR>「……ちょっと、"お話"しようか、はやて」<BR>「おうさ。こちとら、並の"お話"じゃ銭ァ払わんで？」<BR>　おっきな剣になったバルディッシュさんを担いだフェイトちゃんと、魔力の黒い羽を背中になびかせたはやてちゃんが、恐ろしいほど静かに扉を閉めて部屋を出ていった。ああ、フェイトちゃん、廊下通るとき天井傷つけないでいてくれるといいなあ……なんて考えが、とりあえず頭に浮かぶ。もちろん現実逃避だ。けど、入るとき預けた入寮費。あれ、よっぽど部屋汚してなければ出るとき返ってくるって話だったけど……諦めなきゃいけないかなぁ。<BR>「……すまんな高町。滅多にはないのだが、主がああなるともう……」<BR>「――うん、いやわかってますよシグナムさん。大丈夫です、フェイトちゃんとはやてちゃんなら……多分」<BR>　頭を下げてくるシグナムさんに笑顔を作って、それからすんすん鼻を鳴らしてるヴィータちゃんの前に膝をつく。<BR>「なのはぁ。はやてが……」<BR>「うん、うん、わかってるから。あとで私がはやてちゃんに、ちゃんとメってしとくからね。……とりあえず、ケーキ食べる？」<BR>「……食べる」<BR>　うん、と頷いてテーブルに戻り、ケーキを切り分けて持ってくると、ヴィータちゃんはリボンで包まれた手足をもぞもぞ動かしている。<BR>「ん……ん～～～っ！」<BR>　フリフリのドレスの上から真っ赤なリボンを掛けられたヴィータちゃんは、正直もの凄く可愛い。半泣きの顔のその頭の上に、特大のリボンが結ばれて、ヴィータちゃんが動くたびにふわふわと揺れている。このまま本当に、プレゼントとして貰っていってしまいたいほどだ。言うと怒るだろうから、口には出さないけど。<BR>「ハァ……やっぱ駄目だ。これ、はやての魔法で出来てて、はやてかなのはじゃねえと解除できねーってはやてが言ってた」<BR>「私が？どうやるの？」<BR>「それが、あとではやてがなのはだけに教えるって……」<BR>「ああ――」<BR>　はやてちゃんのことだから、きっととんでもないことかろくでもないことかのどちらかなんだろうなぁと。<BR>　そう考えたその時、ちょうど窓の向こうから、落雷そのものの爆音が響く。<BR>　さらに続いてそれを覆いつくすかのような、冷たい吹雪の風の音。もう春先だというのに。というかついさっきまで、月が綺麗に見えてたって云うのに。<BR>「……今は、はやてちゃんちょっと忙しいみたいだね。しょうがない」<BR>　しょうがないから、とりあえず。<BR>　私は、ケーキの端を小さく切り取ってフォークに突き刺した。<BR>「はい、ヴィータちゃん。あーん」<BR>「え、へ？」<BR>「大丈夫。誰も見てないから」<BR>　私の言葉に、ヴィータちゃんはささっと左右に顔を振る。<BR>　シャマルさんあたりが気を利かせてくれたのか、つい先ほどシグナムさんたちと一緒に部屋を出ていったのは、気配でわかっていた。<BR>「な、なんで、シグナムたち」<BR>「あーん」<BR>「やっ、やめろよ。恥ずかしい」<BR>「あーん」<BR>　むう、とヴィータちゃんは口を引き結んで、私を睨んでくる。けど、そんな格好して、真っ赤な顔で睨まれてもただひたすら可愛いだけだ。私は構わず、フォークをさらに近づける。<BR>「ヴィータちゃん。あーん」<BR>「うぅ……なのは、あたしで遊んでるだろ？」<BR>「そんなことないよ。私は、ヴィータちゃんにうちのケーキを食べて欲しいだけ」<BR>　少しまじめな顔をして言うと、ヴィータちゃんはうっと口ごもってしまう。ああ、ヴィータちゃんは本当に素直で可愛いなあ。<BR>「はい。ヴィータちゃん、あーん」<BR>「う…………あーん」<BR>　やっと小さく開けてくれた口に、私はフォークの先を滑り込ませた。<BR>　ちょっと大きめだったのか、ハムスターみたいにほっぺたを膨らませてもぐもぐしているヴィータちゃんに、私の視線はもう釘付けだ。<BR>「美味しい？」<BR>「うん……うめー」<BR>　ちょっと笑ってくれたヴィータちゃんに嬉しくなって、私は今度は、もう少し大きめに切り取ったケーキの欠片を、ヴィータちゃんの口の前に差し出した。</P>
<P><BR>――フォトンランサァァァー！　ファランクスシフトォッ！</P>
<P>――往生しいやァフェイトちゃんっ！　響け終焉の笛ぇっ！</P>
<P><BR>　表では、もはや手加減のカケラも感じさせない声が轟音とともに響いてくるけど、この際気にしないことにした。<BR>　何か、公用でしか使っちゃいけないはずのカートリッジの音もガッコンガッコン鳴ってる気がするけど、まあ気のせいじゃないとしても始末書書くのはフェイトちゃんだよね。<BR>　前にはやてちゃんが言ってたことだけど、こういう場面は誰かがツッコミを入れないことにはもう収まらないものなのだという。<BR>　ああ、それならお望み通り。もう少ししたらあの二人には、全力全開で"ツッコミ"を入れてあげよう。<BR>　でも、今は。<BR>「ね、ヴィータちゃん。ジュースも飲む？何がいい？」<BR>「あ、うん……オレンジの。パチパチしねーヤツ」<BR>「わかった。ちょっと待ってね！」<BR>　せっかくのはやてちゃんの「プレゼント」。この誕生日パーティを目一杯楽しませてもらっても、バチは当たらないと云うものだろう。</P>
<P><BR>「なのはなのはなのはなのはなのは……！」<BR>「待っとれヴィータ！このヤンデレ退治したら、明日はあんたの結婚式やでぇ！」<BR>　黄色に白に乱れ咲く、季節外れの大火華。<BR>　見守るは夜天の騎士たち三名の影、立つは時空管理局局員寮の屋根の上。<BR>「テスタロッサの動きが良い。これは、いかに主とはいえ不覚を取ることもあるやもしれんな」<BR>「いや、あれは主の陽動と見た。あの密度のトラップ網を抜くのは、いかにテスタロッサのスピードでも困難だろう」<BR>「ほう、面白い。ならば賭けるか？」<BR>「うーん。やっぱり翠屋さんのケーキ美味しいわ。あとで習いにいっちゃおうかしら」</P>
<P><BR>　ミッドチルダの夜空を裂いて、一筋の閃光が天を桜色に染めるのは、この８分４０秒後のことである。</P>
<P>&nbsp;</P>
<P>「たーまやー♪」<BR>　慌てて主たちを助けに飛ぶ二人を見送ってシャマルは、ひとまずお約束に従ってみるのであった。</P>
<P><BR>&nbsp;</P>
]]></content:encoded> 
  </item>  
  <item rdf:about="http://blog.so-net.ne.jp/condition_deepblue/2007-03-22"> 
    <title>猫</title>  
    <link>http://blog.so-net.ne.jp/condition_deepblue/2007-03-22</link>  
    <description>オリジナルと云うか、こあとるさんやyoruhaさんがやってらしたこちらのテーマの文を書くという試みに便乗いたしたくなった所存。いや、全然アイディアが思い浮かばずスルーしてたのですが、２、３日前に旧に思いついたため。&amp;nbsp;―――――――――――――――――――――――――――</description>  
    <dc:subject>オリジナル短編</dc:subject>  
    <dc:creator>DEEPBLUE</dc:creator>  
    <dc:date>2007-03-22T02:34:29+09:00</dc:date>  
    <content:encoded><![CDATA[
<P><a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%82%B8%E3%83%8A%E3%83%AB&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">オリジナル</a>と云うか、<A title="" href="http://homepage1.nifty.com/~sudo/takasugi/" target=_blank>こあとるさん</A>や<A title="" href="http://homepage3.nifty.com/yorunohane/" target=_blank>yoruhaさん</A>がやってらした<A title="" href="http://q.hatena.ne.jp/1172426828" target="">こちら</A>のテーマの文を書くという試みに便乗いたしたくなった所存。</P>
<P>いや、全然アイディアが思い浮かばずスルーしてたのですが、２、３日前に旧に思いついたため。</P>
<P>&nbsp;</P>
<P>―――――――――――――――――――――――――――</P>
<P><a name="more"></a></P>
<P>&nbsp;</P>
<P><BR>　　　猫</P>
<P>&nbsp;</P>
<P><BR>　猫と云うのは、美しい生き物だと思う。<BR>　見た目かたちのことを言っているのではない。その生き方について、生き物としての在り様が美しい。<BR>　彼らは生きたい様にしか生きないし、生きられる様にしか生きたいと思わない。自分の生が中断されようとすれば抗おうとあがくけど、終幕がくれば黙って受け入れる。彼らは皆、自分の人生の名演者だ。<BR>　いや。今目の前にいるものだから猫を例にしてしまったけれど、実はおおよそほとんどの生き物の生き方は同じ様に美しいのだ。<BR>　人だって、多分同じ。<BR>　若い奴は奇抜な生き方に憧れたりするけれど、本当は<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%AB&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">シンプル</a>な人生こそが正しく、最も美しい。<BR>　働いて、嫁さんもらって、<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E5%AD%90%E4%BE%9B&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">子供</a>を育てて、孫を可愛がって、年とって死ぬ。これほど美しくて、立派な人生もないものだ。<BR>「それで、僕が何が言いたいかって言うとさ」<BR>「うん」<BR>　<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">マスター</a>は僕の長広舌に何の感銘を受けた様子もなく、磨いているコップに注いだままの視線を頷かせて相槌を打つ。<BR>「……<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%92%E3%83%BC&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">コーヒー</a>を頼んだら素直にコーヒーを持ってくるのが、シンプルに正しく美しい喫茶店のあり方だと思うんだ」<BR>　掲げて見せたカップから、揺らいだ琥珀色の水面が甘い香りを振り撒いた。<BR>「今日は、コーヒー出さないの。代わりに、<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%83%8F%E3%83%81%E3%83%9F%E3%83%84&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">ハチミツ</a>いっぱいサービスしたげたから」<BR>　<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E7%B4%85%E8%8C%B6&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">紅茶</a>に<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E8%9C%82%E8%9C%9C&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">蜂蜜</a>。それは確かに名コンビであると言えるのかもしれないが、別段甘党でもない僕にとってはさっぱり嬉しくないサービスだ。<BR>　しかも、コーヒーを出せないのではなく出さないと来た。トレードマークのヒゲと<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%B9&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">サングラス</a>のせいでさっぱり表情は読めないものの、こんなご時世に個人経営の喫茶店を開いてるくらいだから、他の喫茶店の店主同様ここのマスターも自分のこだわりについてはわりかし頑固である。<BR>　やむなく僕は、立ち上る蜂蜜の匂いに窒息しそうになりながらカップに口をつけるしかなかった。<BR>「ねえ、マスター」<BR>「うん」<BR>　マスターの返答は、やっぱりどこか曖昧であったけれど、ひとまず気にせず訊ねてみる。<BR>「けるびんの奴、今日は何だか元気ないね」<BR>　甘ったるい湯気越しの視線を<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%82%AB%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">カウンター</a>の端へ移しつつ、僕は言った。<BR>　移した視線の先には、一抱えくらいのもこもことした黒い物体がある。<BR>　カウンターの隅っこを己のねぐらと陣取る、それは丸まった一匹の黒猫だった。<BR>　パサパサとしてあちこち乱れた艶のない毛並みは、もう彼女がすでに、相当の老境にあることを示していた。<BR>　それでも、つい先月この店を訪れたときには、自分の名前が会話に出れば、耳をぴくぴくさせながらそのびっくりしたような顔をこちらに向けるくらいはしてくれたのに。<BR>　そして僕がコーヒーを飲んでいることを目聡く見つけると、すかさず寄ってきてカップの中を覗き込む。喫茶店の猫らしいと言えるかどうかは微妙だが、とにかくけるびんは、コーヒーの香りが大変お気に入りである。<BR>　そうしてマスター自慢のローストを存分に堪能した後、おもむろにひとつ、くしゃみをする。敏感な鼻のせいなのか、それとも何かのアレルギーの類なのか。ともかく決まって、くちゅんと小さくくしゃみする。そうして彼女は、すごすごと己の定位置に引き返し、また次の客がコーヒーを注文するのを待つのだ。<BR>　嫌な人には嫌だろうが、面白いと思う人にはこれが面白い。そうしたわけで、この店の常連客はまず必ずブレンドを注文する。けるびんの特別な接客を楽しみに、毎日ここでコーヒーを飲んでいく常連も存在する。僕はだけど仕事があるから、休日くらいしか訪れることが出来ないのだけど。</P>
<P>　けるびんは十年前、まだマスターが風俗嬢をやっているときに出会ったとのことだった。ヒゲ男に風俗嬢とか言われても何なんだけど、実際そうだったというのだから仕方ない。世の中おかしいと云う他ないが、世の中には結局おかしいことばっかりなのだから、つまりはそれで正常なんだろう。<BR>　そして６年前にマスターがここで喫茶店を始めて以来、彼女はずっとここで看板娘をやっている。彼女というのはもちろんヒゲのマスターのことではなく、黒猫けるびん嬢のことだ。<BR>　けるびん、と云う名前は、彼女を拾ったときにマスターがつけた。そのころすでにいい年齢に見えたとのことだから、それから十年たった現在はもう相当のご長寿に在るといって良いだろう。<BR>　ちなみに、マスターは毎週日曜に欠かさず礼拝に赴くほどの、敬虔なカトリック信徒である。<BR>　敬虔なカトリック信徒的に言って飼い猫に天使の名をつけることが良いことなのか悪いことなのか、信徒でない僕には判断しかねる。あと、元プロのソッチ系てのもクリスチャン的にどうなのよってあたりも、もちろんわからない。<BR>　ともあれけるびんはけるびんとして、マスター以上にここの主らしくここにいる。結果として僕が理解できるのは、つまりそれだけである。</P>
<P>「もう、年だからね」<BR>　マスターは、独り言のような口調で応えた。<BR>　今日の彼女は、すぐ隣で自分の噂をされているというのに、おっくうげに丸まったままであった。まるで、縁側で正座のまま昼寝するお婆ちゃんだ。ほっとかれる孫の立場としては、大変寂しい。<BR>　でもマスターは、僕の視線に篭った感情を承知の上で、首を振った。<BR>「無理、させたくないのよ」<BR>　くしゃみひとつでも、弱った体には相当の体力を奪ってしまうものだ。パートナー候補が男性か女性かはしらないがともかく独身のマスターには、けるびんはたったひとりの家族である。彼女の身を気遣うのも、当たり前のことかもしれない。<BR>　見回せば他にも２、３人、見覚えのある顔の客がしょぼくれた顔をしてティーカップを傾けていた。<BR>　そうして多分、彼らから見れば同じ顔をして僕は、蜂蜜の味しかしない紅茶を口にすすり入れるしかないのであった。</P>
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<P>　それからしばらく仕事が立て込んで休日出勤が続き、次にこの店を訪れたのは、一ヶ月も後のことになった。<BR>　ランチにはもう遅い昼下がりの時間が作る影は、店の中をモノトーンの写真じみた光景にする。その影に覆われるようにして、ヒゲのマスターはいつものように、カウンターの向こうでカップの受け皿を磨いていた。<BR>　ドアを開けるとガラガラと、余り軽快ではない音を響かせるのは、マスターがヨーロッパ旅行へ行ったときに買ってきたというカウベルである。店内を見渡すと時間帯のせいなのか、他には客の姿はなかった。<BR>　カウンターのスツールに腰を掛けると、ほどなくして目の前にカップが置かれる。<BR>　透き通るような黒を満たした、厚手のカップ。果実のような酸味のある芳香は、懐かしくも嗅ぎなれたマスターご自慢のブレンドの香りだ。<BR>「……マスター。僕、まだ注文してない」<BR>「この前頼んだでしょ。その分」<BR>　マスターは僕の抗議に振り返りもせず、カップを磨き続けていた。<BR>　ひと月前の間違いに、今更替わりかよと。もうそんな風に突っ込む気にもならず、僕はカップの耳に指をかけた。<BR>「今日はコーヒーしか出さないの」<BR>　そう彼が言うのだから、実際本日この店で、コーヒー以外のものは望み得ない。<BR>　どのみちこの香りに、僕の口はすっかりコーヒーを受け入れる状態になってしまっているのだ。今更取り上げられてもかなわなかった。<BR>「――くしゃみして、それで１分２分寿命が縮んだとしたって、好きな香りくらいいっぱい嗅がせてあげるべきだったのかもねえ」<BR>　スプーンを磨くクロースに視線を落としたまま、マスターはぽつんと呟く。<BR>　それは多分、ひとり言だったのだから。僕は何も応えない。<BR>　代わりに、手の中のカップを揺らして、少しだけ香りを宙に撒いてやる。<BR>　そうすると、くちゅん、と。<BR>　どこかから、小さなくしゃみの声が、返ってくるような気がするのだ。</P>
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<P><BR>～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～</P>
<P>とまあ、テーマからはいささか反則気味でありますがとりあえず。</P>
<P>反則ついでに、解説については勘弁してください。</P>
<P>プロットなんか書いたこともねえですよ！</P>
]]></content:encoded> 
  </item>  
  <item rdf:about="http://blog.so-net.ne.jp/condition_deepblue/2007-02-07"> 
    <title>Anniversary.</title>  
    <link>http://blog.so-net.ne.jp/condition_deepblue/2007-02-07</link>  
    <description>また転載なんだ。うん、すまない。(´・ω・｀)ミクシの方で読んで下さった方は、細かい修正以外おんなじものなので読まなくてよいですよ。KanonとLienのクロス。クロスでもバトルはない。～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～</description>  
    <dc:subject>クロスオーバー</dc:subject>  
    <dc:creator>DEEPBLUE</dc:creator>  
    <dc:date>2007-02-07T21:58:57+09:00</dc:date>  
    <content:encoded><![CDATA[
<FONT size=2>
<P><BR>また転載なんだ。うん、すまない。(´・ω・｀)<BR>ミクシの方で読んで下さった方は、細かい修正以外おんなじものなので読まなくてよいですよ。<BR><a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=Kanon&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">Kanon</a>とLienのクロス。クロスでもバトルはない。</P>
<P>～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～</P>
<P><a name="more"></a></P>
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<P>　　　　Anniversary.</P>
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<P>　沙羅のように彩めいて輝く下生えを巻き込んで、ただ風が通り過ぎてゆくだけの丘に、恭子は居た。<BR>　冬枯れた森の覆う丘の真ん中に、奇跡のように開けた<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E5%9C%9F%E5%9C%B0&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">土地</a>だった。<BR>　周囲の森のお陰だろうか。それとも休みなく吹き渡る、この風のせいだろうか。<BR>　他では大地を包み覆う雪は、この草原にはあまり見られなかった。<BR>「――」<BR>　物音に振り向くと、そこに一人の少年が立っていた。<BR>　右の手には、<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E8%8A%B1%E6%9D%9F&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">花束</a>を。<BR>　左手にはいっぱいの<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E8%82%89%E3%81%BE%E3%82%93&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">肉まん</a>を入れた、紙袋を抱えて。<BR>「こんにちは」<BR>「こんちはっス」<BR>　笑顔を作って挨拶すると、慌てたような応えと会釈が返ってきた。<BR>「お邪魔ですか」<BR>「いいえ、いいです。大丈夫です」<BR>　少年は首を振ると、草原の隅っこに行ってそこに腰掛ける。<BR>　自分が座るその前に、花と肉まんの紙袋を置いて、あとはただそれを眺めているだけだった。<BR>「……おいしそうですね」<BR>　いつのまにか自分の背後につかれていることに気が付かなかったのか――まあ、そのように近づいたのだが――声をかけると少年は、びっくりした顔で恭子を振り返る。<BR>　しばらく見上げてきていたその顔が、不意に緩んで恭子に言葉を投げかけた。<BR>「好き、なんですか。肉まん」<BR>「コン」<BR>　あらいけない、つい本性を出してしまった。何百年生きようと、自分自身までは捨てられぬものだ。少年も、さぞかしいぶかしげに私を見て――いない。<BR>　むしろ目を見張って、恭子の顔を見上げてきていた。さぞかし驚かせてしまったか――それとも。<BR>「あ、いや、うん。それじゃあ、一個どうぞ」<BR>「あら、いやだ。そんなつもりじゃないんですよ。それにそれ、<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%81%8A%E4%BE%9B%E3%81%88&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">お供え</a>ものなんでしょう？」<BR>「そんな、大したもんじゃないです。……いいんですよ、一個くらい。あいつは怒るでしょうけど、かまわないでください」<BR>　苦笑、と言うには気持ちのいい笑顔で、少年は底のほうからまだ温かみの残ったひとつを引っ張り出して差し出した。それが、その行動が、何かの願いがこもっているかのように見えて、恭子は思わず――肉まんにではなく、その手を取ろうと――手を伸ばす。<BR>　少年は笑顔で、伸ばされた彼女の手に肉まんを乗せた。その温かみに、自分がそれを要求したと思われてもおかしくない行動を取ったことに気付いて赤面する。<BR>「あら。あら、あら」<BR>「どうぞ」<BR>「あらまあ。それじゃあ、せっかくですからひとつだけ」<BR>　両手の指先でほのかな温かみを包んで、口にもっていく。一口噛むと、甘い油の味が冬風に乾いた舌に染みた。<BR>「あら。おいしい」<BR>　恭子の感想に、少年は笑顔で彼女の顔を見上げた。<BR>　草の上に腰掛けたまま、少年は、紙袋と花束に目を落とす。<BR>　その花束が、菊や桔梗ではなく薔薇と<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%82%AB%E3%82%B9%E3%83%9F%E3%82%BD%E3%82%A6&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">カスミソウ</a>の<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%83%96%E3%83%BC%E3%82%B1&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">ブーケ</a>であることに恭子は気付いた。<BR>　そして恭子が気付いた、というそのことに、少年も気付いたようだった。<BR>「今日は、<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E7%B5%90%E5%A9%9A%E8%A8%98%E5%BF%B5%E6%97%A5&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">結婚記念日</a>なんです」<BR>　呟く少年の横顔は、もう笑顔ではなかった。<BR>「俺たちの」</P>
<P>「……そう、」<BR>――ああ。そうか。<BR>　少年が、他でもないここを、この丘を訪れた理由に、恭子は気付いた。<BR>　また、ここの子が。１００年にも満たぬ幼仔が、人里の温かさに惹かれて、また。<BR>「、なの、ですか」</P>
<P>　それきり少年も、恭子も、しばらく言葉を交わさずに、枯れた風の往く方に視線を送っていた。<BR>　まったく――。<BR>　ヒトなんて、そこまで大したものでもないというのに。なぜ、あなたたちは。<BR>　そこまで考えておいて、それが自身の選んだ境遇と甚だ矛盾した考えであることに気付く。<BR>　そうだ。<BR>　ヒトが特別なのではない。特別なヒトがいただけだから。<BR>　ああ、聞こえる。確かに、聞こえる。<BR>　年経たものの声は人間以上の叡智をもつが、静かで一定である。若い声はひとつの想いに近くて、小さいけれど激しくて熱い。<BR>　その中に、小さく小さく。だけど確かに、しっかりと。少年を見るひとつの想いがある。<BR>「……それでは、あなたたちの結婚記念日を祝して」<BR>　恭子がぽんと胸の前で手を叩き、それに引かれて少年の視線が彼女に向かった。<BR>「それと、肉まんのお礼も兼ねてということで、ひとつ手品をお見せしましょう」<BR>　余所行きの呉服の裾から、白い手を差し出して静かに天に掲げる。<BR>「手品……？」<BR>「――大丈夫。その子のこころは、ちゃんとここに帰ってきていますよ」</P>
<P>　均一だった風が、そのとき強く吹いた。<BR>　連れてきたものを恭子の手に託して、行き過ぎてゆく。</P>
<P>「貴方が、連れてきてくれましたから」<BR>　恭子の手に握られていたのは、赤茶けた布だった。<BR>　風に流れて広がると、細かく編まれたレースがわかる。<BR>　それは、ヴェールだった。<BR>　薄汚れて、元の色は失われてしまっているけれど、昔はたしかに真珠のような純白をしていたのだろうと思わせる、美しいレースの。<BR>　無表情に目を見開いてそれを見上げていた少年の右目から、ぽろりと一筋だけ、雫が落ちる。<BR>「結婚記念日、おめでとうございます」<BR>　ヴェールを手渡すと、少年の無表情が不意に、くしゃりと歪んだ。<BR>　大人びたように見えていた彼の顔が、そのとき初めて、恭子の目に年相応に戻ったように映る。<BR>　遠くのどこかから、風が運んできたのだろうか――そのとき。</P>
<P>　凜、と。<BR>　鈴の音が鳴いて、消えた。</P>
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<P>&nbsp;</P>
<P>　おうい、という野太い声に振り向くと、果たしてそれは恭子の待ち人であった。<BR>　僧形に長髪。若作りに見えるが、実際の年はもう四十を越えている。<BR>　けれども、恭子にとっては、人の年齢も外見もどうでもいいことだった。<BR>「すまぬな、恭子。待たせてしまったか」<BR>「いいえ、あなた。先ほどまで若い男の子と楽しくお喋りしていましたので、退屈はしていませんよ」<BR>　若い男の子、というところで、男はむっと口の端を歪める。嫉妬しているのだ、年甲斐も無く。そういうところが可愛くて、恭子の気に入っているところの一つなのだが。<BR>「……少し、志郎さんに似た、優しい子でしたよ」<BR>　その名に、男は表情を改める。<BR>　それは、大切な名前だった。二人の思い出に共通する、懐かしいと言うにはまだ鮮烈な記憶。<BR>「そうか」<BR>　短く重い声で、男はそれだけを口に出した。<BR>「そういえば恭子。土地の先住者に、挨拶にと言っておったが」<BR>　口調を軽いものにして、男は微笑の表情をつくる。<BR>「ええ、そちらは滞りなく。あなたのお仕事の方は？」<BR>「うむ。よくある、と言ってしまえばそれまでであるが、いたたまれん仕事だった。だが、あの子は強い。いい友達もいる。きっと、今回のことも乗り越えてゆけるだろう」<BR>「そう。あなたも、いい子に会えたのですね」<BR>　そうして、恭子は遠くを見る。<BR>　さきほどよりも幾分、優しくなったような気がする風の中に。<BR>　恭子は、少女の笑い声を聞いた気がした。</P>
<P>&nbsp;</P>
<P></p></FONT>&nbsp;
]]></content:encoded> 
  </item>  
  <item rdf:about="http://blog.so-net.ne.jp/condition_deepblue/2007-01-31"> 
    <title>言峰桜のばあい</title>  
    <link>http://blog.so-net.ne.jp/condition_deepblue/2007-01-31</link>  
    <description>その昔、どっかに出したＦａｔｅ嘘予告ネタを発掘。少々書き足して掲載。今となっては、ホロウのキャラと設定性格共にモロにかぶるので、今更ちゃんと書く話には出来ねえネタですなぁ。&amp;nbsp;</description>  
    <dc:subject>ネタ等</dc:subject>  
    <dc:creator>DEEPBLUE</dc:creator>  
    <dc:date>2007-01-31T05:34:53+09:00</dc:date>  
    <content:encoded><![CDATA[
<P>その昔、どっかに出したＦａｔｅ嘘予告ネタを発掘。少々書き足して掲載。</P>
<P>今となっては、ホロウのキャラと設定性格共にモロにかぶるので、今更ちゃんと書く話には出来ねえネタですなぁ。</P>
<P>&nbsp;</P>
<P><a name="more"></a></P>
<P>&nbsp;</P>
<P><BR>「――間桐家に、養女に出そうと思っている」<BR>「桜を、ですか？　何故また、間桐に」<BR>「あちらから、打診があってな。どのみち、魔術師の家に二子は禁忌だ。いずれ凛が修行を始めるころには、桜はこの家には置いておけない」<BR>「しかし、間桐家は――」<BR>「魔術の修行がつらいのは、いずこでも同じことだ。この家に置いておく方が、あれには余程不幸なことになる」<BR>「では……よろしければ、私に預けてみるというのはいかがです」<BR>「君に？　桜をか」<BR>「ええ」<BR>「どういった風の吹き回しだね。君はたしか、一度」<BR>「なに。私も、後継者を育ててみたくなった。そんな、ちょっとした<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E6%B0%97%E3%81%BE%E3%81%90%E3%82%8C&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">気まぐれ</a>ですよ」</P>
<P>　それは、ひとつの可能性の物語。<BR>　ありえるありえないは別にして。</P>
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<P>　　　<STRONG>言峰桜のばあい</STRONG></P>
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<P>「……なんで、当たり前のように君がうちに遊びに来ているんだ言峰」<BR>「これは心外な。<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E5%AD%90%E4%BE%9B&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">子供</a>たちが仲良くしている以上、その親同士が親交を結ぶのは当然のことだろう」<BR>「うちの士郎に桜ちゃんを引き合わせたの、君じゃないか？」<BR>「お前が何を言っているのかわからないな、切嗣」<BR>「……僕は、君と親戚になるなんて嫌なんだが」<BR>「それは私も心底嫌だが、しかしお前に嫌がってもらえるならば多少のことには目を瞑る用意はある」<BR>「……」<BR>　そのとき、彼らのいる部屋の前の縁側を、軽いが慌ただしい二つの足音が駆け抜けていく。<BR>「あん、まって士郎ちゃん……じゃなくてあなたー！」<BR>「やめろって！なんでおままごとで服を脱がすんだよさくらーっ！」<BR>「だって、それがフウフの一番大事なおしごとでしょー？」<BR>「ウソだーっ！」<BR>　泣き声まじりの叫びと、小学生にしては艶の入り過ぎた声が行き過ぎてゆくのを、それぞれの表情で見守る大人二人。<BR>「……言峰」<BR>「なんだ」<BR>「うちの士郎は、絶対に渡さないからな」<BR>「そういったことは、当人同士の問題だからな」<BR>　士郎のいれたものである茶を、二人は同時に手にとって、同時に一息に飲み干した。</P>
<P><BR>　衛宮家と言峰の<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E6%95%99%E4%BC%9A&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">教会</a>はそれなりに離れているので、実は校区が異なる。小学校も、そして後に入ることになる中学校も、本来は別々の学校になるはずであったのだが、言峰は地区の教育委員会に強引にねじこんで桜を士郎と同じ学校に通わせていた。<BR>　桜も、遠い距離にめげることなく、それどころか遠回りを承知で家まで士郎を迎えに行ったりして、一緒に同じ学校に通い続けた。<BR>　顔は可愛く、内面はともかく外面も良く、小学校高学年時点にしてすでに胸もＣカップであった桜はおおよその女子に嫌われる反面、男子の隠れ人気は絶大なものがあった。<BR>　結果、彼女と必要以上に仲良くしているようにみられる士郎は、級友たちに「<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E5%A4%AB%E5%A9%A6&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">夫婦</a>、夫婦ー！」などとからかわれる不幸を得ることになる。なにしろ毎日一緒に登下校しているどころか、学年も違うのにお昼休みの度に士郎を遊びに誘いにくるのだから、彼らの言い分も根拠のないものではない。お年頃もあって、そのたびに士郎は「ちがわいー！」と激昂するのであるが、桜の方はむしろそれを聞くたびに、陶然とした表情でほほ笑むのである。</P>
<P><BR>「お父さん、士郎ちゃんね、魔術師になりたいんだって。でもキリツグおじさまはケチで教えてくれないって言うから、わたしが教えてあげることにしたの」<BR>「ハハハ、そうか。桜はいい子だな」<BR>　もちろん、切継としては息子のことを考えて魔術の教授を為さなかったのだろう。魔術師の一生とは、すなわち研究と苦痛と、不道徳の連続だ。<BR>　それが切嗣の知らないところで、衛宮の名を継ぐ者でありながら言峰綺礼の系統に染まる。言峰にとっては、実に愉快極まりない状況だ。<BR>「桜は、士郎君が好きかな」<BR>「うん、大好きよ」<BR>「そうか、ならば手段を選ばず手に入れるがいい。愛があれば、神は全てを許容されるだろう」<BR>「うん、大丈夫よ。士郎ちゃんには、こっそり気配が薄くなる魔術をかけているもの。おかげで<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E6%81%8B%E4%BA%BA&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">恋人</a>はもちろん、士郎ちゃんお友達も少ないの」<BR>「はっはっは。さすが我が娘だな。だが、士郎君に魅了をかける方がてっとり早くはないか」<BR>「それはだめ」<BR>「ふむ、何故だ？」<BR>「士郎ちゃんには、ちゃんとわたしのことを好きになってほしいもの」<BR>「はっはっは、なるほど。網を持って追い回すのではなく、あくまで餌にかかった魚を釣り上げるのが<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E9%87%A3%E3%82%8A&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">釣り</a>の醍醐味であるということだな」<BR>　こうした父娘の微笑ましい会話の上に、桜の常識観念は実に魔術師らしく、どんどん斜め上にすっ飛んでいくのであった。</P>
<P><BR>　そんな桜でも、切嗣が亡くなったときにはさすがに悲しかった。<BR>　切嗣は基本的には桜にも優しかったし、なにより切嗣を失った士郎が可哀想で、それが悲しくて泣いた。<BR>　切嗣のことを好きだったのだろう、大河もわんわん泣いていたし、何より彼のことが嫌いだと思っていた桜の義父もまた、葬儀中ずっと怒ったような顔をして、とぼけた笑顔を見せる壇上の<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E5%86%99%E7%9C%9F&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">写真</a>を睨んでいた。<BR>　けれど、士郎は泣いていなかった。<BR>　かといって、暗くふさぎこむでもなく、思い詰めている様子もない。<BR>　まっすぐ顔を上げて、切嗣の写真を見上げている。それは少年ながら、何かを決意したような、目的を得た男の顔だったのだと思う。</P>
<P><BR>　やがて二人は中学生になり、「士郎ちゃん」は「先輩」になる。<BR>　中学を卒業した桜は、当然のように士郎と同じ高校を選ぶ。士郎の<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E9%80%B2%E5%AD%A6&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">進学</a>先が決定した時点で、桜の行く先も決まったようなものだった。一年の遅れを堪え切れぬかのように、桜は穂群原一校のみを<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E5%8F%97%E9%A8%93&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">受験</a>して、そして危うげなく合格した。<BR>　幼なじみであり、魔術の師弟である二人は、しかし未だに恋人未満のままだった。それは主に士郎の朴念仁のせいではあるが、二人の距離が近すぎたことも理由の一つではあった。</P>
<P><BR>「そこで」<BR>　義父と<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%82%AE%E3%83%AB%E3%82%AC%E3%83%A1%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">ギルガメッシュ</a>に食事をよそいつつ、桜は宣言する。<BR>「今回の聖杯戦争、わたしも参加しようと思います、父さん」<BR>　食事前に、言峰と桜は一応手を合わせて神に祈るが、空気を読まない男ギルガメッシュは構わず食べだす。仕方がない、宗教が違うのだ。ギルガメッシュの我教、現在宗徒一名（本人）。在位中はもう少しいたのだが。<BR>「はっ、我の力をあてにしているというならお門違いだな桜。しかし、まあ他ならぬ貴様の頼みだ。額をつき靴を舐めて哀願するというのなら考えんでも」<BR>「すでにサーヴァント召喚の術は習得しました。触媒はありませんが、喚ぶだけならすぐにでも可能です」<BR>「……」<BR>　軽くスルーされる、ギルガメッシュ。<BR>「ほう、よく決心したな桜。確かに、お前ももう一人前の魔術師だ。聖杯を争う権利はある」<BR>　スープを啜りつつ、会心の笑みを浮かべる言峰。<BR>「しかし、それが士郎君とのことに何の関係があるのかな」<BR>「わかりませんか父さん。つまり、こういうことです」</P>
<P>聖杯戦争<BR>　↓<BR>先輩、巻き込まれる（というか、巻き込む）<BR>　↓<BR>聖杯戦争のことなど何も知らない先輩、右往左往。<BR>　↓<BR>すでに聖杯戦争について知識もあり、魔術にも詳しいわたし、先輩を守り優しく導く<BR>　↓<BR>「なんて頼りになるんだ、桜！やっぱり俺にはお前が必要だ！」<BR>　<BR>「……とまあ、こんな感じで」<BR>「フフフ、なるほど……見事だ。順調にハラグロく育ったな桜。父は嬉しいぞ」<BR>「うふふふ。ええ、クソオヤジ様の教育の賜物で」<BR>「……なんなのだ、貴様らは」<BR>　道徳を超越したギルガメッシュでさえも、呆れたくなる親子の会話。<BR>　これでいてこの父娘は、それなりに仲は悪くないのである。<BR>「だいたい、そんなに都合よくいくものか。浅薄な」<BR>「うるさいですよ、ギル兄さん。またお食事にゴキブリ入れちゃうから」<BR>　桜が入れると言ったら、本当に入れる。しかも大皿のおかずに入れる。あまつさえ、自分だけは衛宮家で食事を済ませてくるという周到ぶりである。<BR>「ふん、舐めるなよ小娘が。王に、好き嫌いなどないわ！」<BR>　自身満々に応えるギルガメッシュに、桜はむ、と唇を歪める。ギル兄さんのくせに、生意気なことを言う。いや、ギル兄さんは元々、生意気と尊大を一晩煮込んでウッカリのスパイスを入れすぎたような性格の持ち主であるけれど。<BR>　でも、初めてお仕置きの料理を出したときには、愉快痛快な叫びをあげたくせに。あえて無理矢理文字表記するとするなら、「いやっはうほわぁおろくらっさあー！」という感じ。<BR>　さらにその後椅子ごと頭から倒れた上、痛みにごろごろ転がった末タンスにぶつかって、倒れたタンスの下敷きになるという見事な三段オチを見せてくれたのに。<BR>　その上で今のこの自信。どうやらこの男、前回の失態を恥じて何かしらの特訓を積んだ様子。サーヴァントのくせに成長するとは、また重ねて生意気な。桜は、あからさまに大きく舌打ちした。<BR>　それにしても、特訓とはどんな特訓だ。まさか、その辺のゴキブリをつかまえて食ってたのかこの金毛。<BR>「……しばらく、私に近づかないでくださいねギル兄さん」<BR>「何っ！？　何故だ！」<BR>「……とりあえず私には好き嫌いがあるから、出来れば入れるならギルガメッシュの皿だけにしてもらえるか」<BR>　過去何度か余波に巻き込まれている言峰神父は、極めて真剣な表情で娘に告げるのだった。</P>
<P><BR>　そして、聖杯戦争は開始される。</P>
<P>「――問おう。貴方が、私のマスターか」<BR>　士郎のサーヴァント。白銀の鎧に身を包む少女剣士――“セイバー”。</P>
<P>「――――」<BR>「――セイバー、さん？……いえ、違う……」<BR>　そして桜の召喚した、セイバーと瓜二つの容貌を持つ黒色の剣士――“バーサーカー”</P>
<P>　それぞれが得た鍵（パートナー）を手に、少年たちは聖杯を求める戦端を開く。</P>
<P>&nbsp;</P>
<P>「ねね姉さんっ！何してるんですかっ、先輩に先輩と何してるんですかあっ！」<BR>「何って……衛宮くん聖杯戦争について何も知らないみたいだから、教えてあげてるんじゃない。全く、あなたがついていながらなんでこんなに……」<BR>「ええ、私からもリンにお願いして……」<BR>「いけませぇーーーんっ！」<BR>「え、な、なんで？」</P>
<P>&nbsp;</P>
<P>　桜、凛、士郎。若さと未熟を幼馴染３人の共闘でカバーし、彼らは他のマスターたちに挑む。<BR>　残るサーヴァントも半数となった、戦いの半ば。</P>
<P>「父さん――バーサーカー！？　そんな……」<BR>「桜。お前の役割ももう、終わった。お前はよくやってくれた――幼い頃にかけた、私の暗示。衛宮士郎に近づき、この聖杯戦争に巻き込む釣り餌としてのな」</P>
<P>　バーサーカーを奪われ、義父に裏切られ。<BR>　そして士郎に対する想いもまた、義父によって造られていたものと桜は知る。<BR>　それでも、なお。</P>
<P>「天にまします我らの腐れ神様あばずれマリア様！どうぞわたしと先輩の敵を、滞りなくぶっ殺させたまえ！もしわたしか先輩どっちかでも殺しやがったら、地獄から悪魔つれて攻めていくから覚悟しろっ！」</P>
<P>　桜は、士郎とともに在る道を択んだ。</P>
<P><BR>「そうか。そろそろ我の力が必要になったようだな、桜よ！」<BR>「……いや、別にいりませんよ兄さん。それより、私たちの愛の巣にご飯時を狙って訊ねてくるのやめてください。恥ずかしい」<BR>「そうですアーチャー。それと、私のハンバーグに伸ばしたその箸を即刻退いてもらいたい。斬りますよ」<BR>「ぬうっ！？二人揃って世界の王をなんたる扱いか！」<BR>「いや……桜もセイバーも、そんな邪険にしなくても。いいよ、一人くらい余分あるから、食っていきなよギル兄」<BR>「ふっははははは！さすがそこの下僕体質は王の扱いを心得ているようだな！よかろう！その庶民の下賎な料理を我に献上する栄誉、存分に浴せ！」<BR>「……そんなに、これを今生最後の食事にしたいですかギル兄さん？」</P>
<P>&nbsp;</P>
<P>　そして、桜は士郎とともに。<BR>　かつて心を繋いだサーヴァントと。父と呼んだ男との戦いに赴く。</P>
<P><BR>　エ　ク　ス<BR>「約束された――<BR>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　カリバー<BR>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　――勝利の剣！<BR>　黄金の波涛と、真黒の颶風。<BR>　合わせ鏡の存在は正反する力をもって、己の影を世界より掻き消さんとその威を解き放つ。<BR>　光と闇の奔流は、二匹の竜が食らい合う如く弾け、吼え、一つに絡み合って天を貫いた。</P>
<P><BR>「――告げる（セット）」<BR>　短い呪文とともに、桜の手から三本の刃が伸びた。<BR>　修道衣をひるがえし、足元から立ち昇るは黒い燐光。<BR>「私が殺す。私が生かす。私が傷つけ私が癒す。我が手を逃れうる者は一人もいない。我が目の届かぬ者は一人もいない――」<BR>　　　　　　　　　　　　<BR>「Gebuhr,Zweihaunder（次、接続）……」<BR>　桜に合わせ、士郎も詠唱を始める。<BR>　桜が見つけてくれた、士郎だけの才能。</P>
<P>「Ich bin der Knochen meiner Klinge――」　<BR>――身体は剣で出来ている</P>
<P>　固有結界、“無限の剣製（Unbegrenzte Klinge Funktioniert）”。</P>
<P>「――っ！」<BR>　倒れ伏す士郎を庇うように、黒衣の桜が黒き剣士の前に立ちはだかる。<BR>　固有結界を維持するのに精一杯の士郎に代わり、桜がこの墓標の丘に並ぶ剣を振るう。それが、二人の策であった。</P>
<P>　バーサーカーの感情のない瞳が、桜を見据える。振りかぶられた黒刃は寸分の迷いも狂いもなく、かつてのマスターを両断する必殺のラインを捉えている。<BR>　その黒い輝きを睨み据えて、桜は。<BR>「さくらぁぁぁーーーーーっ！　……って、え？」<BR>「すみません、先輩」<BR>　動けない士郎の襟首をひっつかむと、桜は見た目の細さからは容易に信じられない膂力でその体を引き上げ――盾にした。<BR>「うわぁああ！？」<BR>「――！」<BR>　とっさに両腕を掲げる士郎の姿を視界に映したのだろう、バーサーカーの剣が、止まった。士郎の額の薄皮一枚だけを裂いた、本当にぎりぎりのところで。<BR>「……え？」<BR>　震えている。理性など英霊の座に置いてきたはずの、バーサーカーのサーヴァントが。</P>
<P>「セイ……バー？」</P>
<P>　つっ、と。一粒だけの涙が、バーサーカーの感情のない左目から零れる。<BR>　バーサーカーの隙は、桜には十分なものだった。<BR>「ごめんね……バーサーカー」<BR>　桜の魔力を満たした黒鍵がバーサーカーの鎧を徹し、胸から背まで貫き通す。<BR>　片手にあった二本の黒鍵を両手へと持ち替えて、桜は澄んだ声を響かせて高らかに詠う。</P>
<P>「打ち砕かれよ。敗れた者、老いた者を私が招く。私に委ね、私に学び、私に従え。休息を。唄を忘れず、祈りを忘れず、私を忘れず、私は軽く、あらゆる重みを忘れさせる」</P>
<P>　動きの停まったバーサーカー ――義父に奪われた、自らのサーヴァントの胴にありったけの黒鍵を打ち込むと、桜は間断なく、士郎の展開した剣の丘から一本の直剣を引き抜いた。</P>
<P>「装うなかれ。許しには報復を、信頼には裏切りを、希望には絶望を、光あるものには闇を、生あるものには暗い死を」</P>
<P>　直剣を、バーサーカーの太ももに刺し入れる。続いて既に左手で抜き取っていた日本刀を。曲剣を。槍を。短刀を。</P>
<P>「休息は私の手に。貴方の罪に油を注ぎ印を記そう。永遠の命は、死の中でこそ与えられる。――許しはここに。受肉した私が誓う」</P>
<P>　魔剣グラム。神剣カラドボルグ。十握剣。宝剣倚天、青紅。<BR>　バーサーカーが針鼠になっていくその凄惨な光景に、士郎は声を上げることも出来ず、ただ見入っていた。</P>
<P>&nbsp;　　　　 　　　キリエ・エレイソン<BR>　「――――“この魂に憐れみを”」</P>
<P>　最後に、両手で渾身の力をもって彼女の胸に突き立てたのは、黄金の剣。<BR>　妖精たちが偉大な王に贈った聖なる剣に、清浄を命ずる祝詞が伝染（つた）う。</P>
<P>　黒い霧が弾け、続けて剣の丘も陽炎と消えた。<BR>　投影の剣はともに消えうせ、黒鍵も刃を収めて柄だけの姿で地に落ちる。<BR>　あとに残ったのは、全身を血に染めたバーサーカー――否。<BR>　セイバーと鏡写しの、その姿であった。<BR>　彼女は、両目を丸く見開いて、夢から醒めた子供のような、不思議なものでもその青い瞳に映したかのような表情で桜と士郎を見つめていた。</P>
<P>「え、あ……シロウ――？」</P>
<P>　その言葉だけを残して。<BR>　痛みも忘れた、不思議そうな表情のままで。<BR>　彼女の姿は静かに薄れ、消えていった。</P>
<P>「ごめんなさい、先輩。でも、先輩も少しは怖い目にあってもらわないといけないって思ったんです」<BR>「あの子の苦しみの責任の一端は、先輩にもあったから」<BR>「でも、一番の罪人はわたし。だから、あの子を救うのはわたし自身でなくちゃならなかった」</P>
<P>「よくわかんないけど……多分、桜の言っていること、正しいんだと思う」<BR>「最後に、あいつ、セイバーそっくりの顔で俺を見て……なんだか、悲しそうだったんだ」</P>
<P>「――ありがとうございます、先輩」<BR>　桜は静かに十字を切ると、胸の前で手を組んだ。<BR>　士郎は今まで、一度だって桜と綺礼の親子を、聖職者らしいと感じたことはない。本当に聖職者かよ、などと感じたことなら幾度もあれど。<BR>　けれど、消えていったバーサーカーの魂に祈る今の彼女の姿は、士郎の目に、とても神々しいものに見えた。<BR>「ところで、桜……もしあの時、バーサーカーが剣を止めてなかったら、どうする気だったんだ？」<BR>　桜は、朗らかに微笑んで、こう言った。<BR>「そのときは、私がちゃんと先輩の仇を取りますよ。安心してください」<BR>「……それは……どうも」<BR>　その場合、俺の仇はむしろ桜なんじゃないか、とは――やはり士郎には、思いはしても口には出せなかった。</P>
<P>&nbsp;</P>
<P><BR>「おじさん！言峰のおじさん！」<BR>「おじさんが、間違ってることがある！」<BR>「桜は、いい子だよ。そりゃあ、ちょっとわがままで、空気読めなくて、陰謀体質で、回りも見えないところあって、すぐ空回りして、友達少なくって、ストーカーっぽくて、何かというと俺や遠坂にセクハラとかしてきて、それで怒るとすごく怖いけど」<BR>「でもいい子だ。俺なんかを、好きだって言ってくれたんだ。守るって、言ってくれたんだ。絶対に、そんな悪いモノの器に相応しい子なんかじゃない！」<BR>「それと、もう一つ！」<BR>「桜は、楽しそうだった。それはおじさん、おじさんと過ごしていて楽しかったからだ。おじさんだって、始まりはウソだったかもしれない。でも、この十年間までがウソだったなんて言わせない。楽しくなかったなんて、言わせない！」</P>
<P><BR>「父さんが、ひとつ間違っていることがあります。私の先輩への思いは、偽りじゃない。貴方に創られたものなんかじゃない」<BR>「だって先輩とわたしは、その前に出会っていたんだから」<BR>「父さん、貴方がしたことは、私の背中をちょっと押してくれただけ。この十年で積み上げてきたわたしの思いは、ウソじゃない！この時間は、偽物なんかじゃないっ！」</P>
<P><BR>　果たして、言峰桜の聖杯戦争は、そして桜と士郎のふたりの運命は、どんな終幕を見せるのか――。</P>
<P><BR>「光は消せても、影は消せない。握った手の中に。瞬きの瞼の裏に。身体の中の、ハラワタに。私の力の及ばない場所はない。私の手の届かない場所はない」</P>
<P><BR>「真っ黒く――浄化してあげますよ」</P>
<P>&nbsp;</P>
<P>&nbsp;</P>
<P>
<HR>

<P></P>
<P>バーサーカー＝黒セイバーネタは、当時頂いた感想の中から貰いました。</P>
<P>でも修道服（当時はシスター服とか書いてた私）は譲れません。</P>
<P>&nbsp;</P></p>
]]></content:encoded> 
  </item>  
  <item rdf:about="http://blog.so-net.ne.jp/condition_deepblue/2007-01-20"> 
    <title>なのはの一年</title>  
    <link>http://blog.so-net.ne.jp/condition_deepblue/2007-01-20</link>  
    <description>多分Ａ’ｓ後準拠。で合ってると思う。&amp;nbsp;</description>  
    <dc:subject>リリカルなのはＳＳ</dc:subject>  
    <dc:creator>DEEPBLUE</dc:creator>  
    <dc:date>2007-01-20T06:25:56+09:00</dc:date>  
    <content:encoded><![CDATA[
<P><FONT size=4>多分Ａ’ｓ後準拠。で合ってると思う。</FONT></P>
<P><FONT size=4></FONT>&nbsp;</P>
<P><a name="more"></a></P>
<P><FONT size=4></FONT>&nbsp;</P>
<P>「あれから、もう一年か…」<BR>　なのはは、左手の中の<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%97&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">シャープ</a>ペンをくるくると回しつつ机に向かっていた。<BR>　冬休みの宿題、「一年をふりかえって」の作文。<BR>　はやてを守る守護騎士たちと戦い、通じ合って、分かり合えたあの戦いから、もう一年が過ぎた。なのはももう、四年生。それもあと数ヶ月で、終わりだ。<BR>　正月を<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%88&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">フェイト</a>の家族と一緒に過ごすのも、もう２回目。これからも、こういう日々が続けばいいと思う。<BR>「何を書こうかな……やっぱり、フェイトちゃんとのことかな」<BR>　そう、一番の親友との平和な一年を。<BR>　この一年でたくさん、たくさん、思い出を作ることが出来た。そしてこれからも、この何倍もの素敵な思い出を、きっとみんなと作ることが出来るだろう。<BR>　さすがに、管理局のこととか魔法のことなどは書けないけれど。<BR>　くすりと笑みを漏らすと、机の端の<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%82%B0&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">レイジング</a><a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%88&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">ハート</a>が応えるように輝いた。</P>
<P>――目を、閉じて。<BR>　なのはは、この一年のフェイトとの思い出を瞼の裏に蘇えらせていく。</P>
<P>&nbsp;</P>
<P>　<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%81%8A%E6%AD%A3%E6%9C%88&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">お正月</a>には、みんなで<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E6%B8%A9%E6%B3%89&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">温泉</a><a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E6%97%85%E8%A1%8C&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">旅行</a>に行きました。<BR>　私の家族と、フェイトちゃんの家族。<BR>　お父さんの運転する車に、私とフェイトちゃんが並んで座りました。<BR>「フェイトちゃん、温泉初めて？」<BR>「うん」<BR>「広いお風呂だからね。一緒に入れるんだよ！」<BR>「え、え……じゃあ、その……混浴だね、なのは」<BR>「フェイトちゃん、女の子同士は混浴って言わないんだよ」<BR>「えっ？じゃあ、いくら見ても犯罪じゃ……？」<BR>「う、うんまあ一応……でも、恥ずかしいからあんまり……」</P>
<P>――ニッポン最高！</P>
<P>「日本じゃなくても多分どこの国でも……えと、聞いてるフェイトちゃん？何でガッツポーズしてるの、ねえ？」</P>
<P>&nbsp;</P>
<P>　<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%83%90%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%B3&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">バレンタイン</a>には、フェイトちゃんが<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E6%89%8B%E4%BD%9C%E3%82%8A&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">手作り</a><a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%83%81%E3%83%A7%E3%82%B3&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">チョコ</a>をみんなに作ってきてくれました。<BR>　慣れない手つきで、でも頑張って作ったチョコレートに綺麗なリボンを掛けて、すずかちゃんやアリサちゃんにも手渡していました。<BR>「女の子同士でチョコって……フェイトって、日本のバレンタインデーの意味、わかってるのかしら」<BR>「今は、女の子同士でも友情チョコって流行ってるらしいよ？　それに、やっぱり嬉しいじゃない、貰えると」<BR>「う、ま、まあね……」<BR>　二人は、照れながらもとっても嬉しそうでした。<BR>　それから、フェイトちゃんは私のところにも来て、顔を真っ赤にしていいました。<BR>「なのはには……これっ！もらって！」<BR>　ばさっと制服を脱いだその下には、体中にリボンを巻きつけたフェイトちゃんの姿がありました。<BR>「え、えええっ！？え、えとフェイトちゃん……」<BR>「残さず食べてね、なのは」<BR>　白い肌をピンクのリボンで包んで、ぽっと顔を赤らめてるフェイトちゃんの姿は、可愛いんだけど。うん、とっても可愛いのは、それはもう心から認めるんだけど。<BR>「あ、あは……あはは……」</P>
<P>「……１２０％理解してるわね、バレンタインの意味……」<BR>「でも、もっと決定的に大事な何かをわかってないよね」<BR>　うしろで、何かお話しているすずかちゃんとアリサちゃん。そんなことより、フェイトちゃんを止めて欲しいんだけど。<BR>「フェイトには、ピンクよりもオレンジとかのリボンの方が似合うと思うんだ」<BR>「いや、そこじゃないから」</P>
<P>&nbsp;</P>
<P>　夏休みには、はやてちゃん家とみんなで海にいきました。<BR>「うらぁー！……くそー！また外れたー！って全然場所違うじゃんかよう！お前ら嘘ばっか教えやがってー！」<BR>「あははー。もう、ヴィータはヘタっぴやなぁ」<BR>「気配で読め、そのくらい」<BR>「スイカに気配なんかあるかぁっ、ちくしょー！！」<BR>　ヴィータちゃんはあんな武器使ってるけど、意外にスイカ割りはヘタでした。<BR>　あと、フェイトちゃんは――<BR>「なのは。日焼け止め塗らないと」<BR>「あ、うん。フェイトちゃん肌白いから、良く塗っとかないとね」<BR>「うん、私は平気」<BR>「ダメだよう。あ、そうだ。自分じゃ背中とか塗りにくいから、塗りっこしようか？」<BR>「…………え、ええっ！？」<BR>「っ！？ど、どうしたのフェイトちゃん？」<BR>「塗りっこ……なのはの肌に、ドロドロのを……え、私にも？そんな、ダメだよなのは……」<BR>「……フェイトちゃん？えと、大丈夫？」<BR>　しばらく自分の体を抱いてふるふる震えていたフェイトちゃんは、何かを決意したような顔で頷いて言いました。<BR>「うん、わかった。私、なのはのなら……飲む」<BR>「飲んじゃダメだよ日焼け止めなんかー！？」</P>
<P>&nbsp;</P>
<P>　そして、またお正月。<BR>　今年は、フェイトちゃん一家が私の家に来て、一緒に年越しをしました。ちょっと夜更かしをして年越しそばも食べて、晴れ着を着て初詣にも行って。<BR>　それから、フェイトちゃんと一緒に私の部屋にお泊り。一緒の布団の中で、お喋りしたりしてました。<BR>「ね、フェイトちゃん。一緒に見たいね、初日の出」<BR>「初日の出……なのはといっしょに……」</P>
<P>　初日の出<BR>　　↓<BR>　夜明け<BR>　　↓<BR>　二人で朝を迎える<BR>　　↓<BR>　姫始め</P>
<P>「な、なのは……わたし、はじめてだから……優しくしてね」<BR>「え？う、うん……？」</P>
<P><BR>　それから、二人で早起きして、ちょっとレイジングハートにお願いして。<BR>　魔法で空まで上がって、二人で初日の出を見ました。<BR>　空は少し寒かったけど、とても綺麗な初日の出に、私は手を合わせてお願いしました。<BR>（今年も、フェイトちゃんやみんなと、楽しく仲良く過ごせますように）<BR>　隣を見ると、フェイトちゃんも目を閉じて、何かをお願いしているみたいでした。一体、どんなお願いごとをしているんだろってちょっと気になるけど、フェイトちゃんのことだからきっと素敵なお祈りなんだって思います。</P>
<P>（今年は、もっとなのはと親密に……いっそ結婚、ううんそれはまだ私たちの年じゃ無理だから、婚約で我慢かな。……もういっそ出来ちゃったとかなら、なのはもきっと責任とってくれて……）</P>
<P>「これからもずっとずーっと友達でいてね、フェイトちゃん！……あれ、何で落ち込んでるのフェイトちゃん。フェイトちゃん？」<BR></P>
<P><BR>　と、いうわけで、去年はとっても楽しい一年でした。今年もいい年になりますように。</P>
<P>&nbsp;</P>
<P><BR>　追伸。でも最近、フェイトちゃんがちょっと心配です。</P>
<P>&nbsp;</P>
<P>&nbsp;</P>
<P>――――――――――――――――――――――――――――――――</P>
<P>１８才になっても、二人はこういう関係でいつづけて欲しいと思う。</P>
<P>&nbsp;</P>
<P>イヤ、自分クスリなんかやってませんよ何も。</P>
<P>&nbsp;</P>
]]></content:encoded> 
  </item>  
  <item rdf:about="http://blog.so-net.ne.jp/condition_deepblue/2006-11-30"> 
    <title>午後ティー？</title>  
    <link>http://blog.so-net.ne.jp/condition_deepblue/2006-11-30</link>  
    <description>&amp;nbsp;ジャンル：ねがぽじ午後ティー？　某らじ風&amp;nbsp;&amp;nbsp;</description>  
    <dc:subject>ねがぽじSS</dc:subject>  
    <dc:creator>DEEPBLUE</dc:creator>  
    <dc:date>2006-11-30T00:41:11+09:00</dc:date>  
    <content:encoded><![CDATA[
<P>&nbsp;</P>
<P><a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%AB&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">ジャンル</a>：ねがぽじ</P>
<P>午後ティー？　某らじ風</P>
<P>&nbsp;</P>
<P>&nbsp;</P>
<P><a name="more"></a></P>
<P>&nbsp;</P>
<P>&nbsp;</P>
<P><BR>「学園の皆さん、こんにちは。<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E6%94%BE%E8%AA%B2%E5%BE%8C&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">放課後</a>のおくつろぎのひとときを演出する、“小鈴とまひるの愛のティーラウンジ”。パーソナリティの蛍坂小鈴と」<BR>「広場、まひるでございまぁー…って、ええええ」<BR>「ふふふふ、久しぶりですね。まひる先輩」<BR>「いや、いやいや。お昼に会ったから」<BR>「二人っきりなのが久しぶりなんですぅ」<BR>「あ、あははは、そうだねえ。…え、えと、ところで小鈴ちゃん。その…美奈萌は？」<BR>「誰ですか、それ？（笑顔）」<BR>「…」<BR>「……」<BR>「………」<BR>「…実は、美奈萌先輩が急用が出来たとかで。それで、急遽私がバトンタッチでまひる先輩の<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%8A%E3%83%BC&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">パートナー</a>をつとめさせていただくことになったんです。ほら、これ委任状ですぅ」<BR>「…えと、たしかに美奈萌の字だ」<BR>「でしょ？というわけで、これからはずっと私とまひる先輩の二人だけの放送です」<BR>「…でも、その小鈴ちゃん。これ、その、裏に小さく『たすけて』って…」<BR>「（ぱっ、くしゃくしゃっ、ぽいっ）さ、そろそろ始めましょう先輩。リスナーのみなさんもお待ちですよ」<BR>「……………………はい（ブルブルブル）」<BR>「まずは、お便りからです。すごい、いっぱい来てるんですねえ。『とっても仲のいいお二人の放送、いつも楽しく聞いています』――はぁい、らぶらぶでぇす！」<BR>（ちがう……この人が言ってるのは多分、アナタとアタシのことじゃねぇ――！）<BR>「『お二人に質問です。将来の夢は何ですか？二人ともとても可愛い声なので、もしかして声優とか？教えてください』――えー、わかってるくせにぃ。ねえ、ま・ひ・る先輩？」<BR>「いやははは、な、何かなぁ（たすけてリスナー！あたし今ガン見されてる！声だけじゃわかんないだろうけど！）」<BR>「んもう！お嫁さんですぅ！もちろんまひる先輩のっ」<BR>「うわはははははは！」<BR>「ああ、目に浮かびますぅ…白無垢を着て、しずしずと式場に向かう私。そんな私を<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%83%96%E3%83%BC%E3%82%B1&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">ブーケ</a>を持った両腕で、笑顔で迎えてくださるウェディングドレスのまひる先輩…」<BR>「いやその絵ヅラ、絶対変だから小鈴ちゃん」<BR>「やだ、先輩…いつも通り、すずちーって呼んでください」<BR>（呼んでない、呼んでない）<BR>「それじゃあ私もいつも通り…まひるお姉さまって呼びますね。きゃっ」<BR>（呼ばせてないっ、呼ばせてないー！）<BR>「さ、お姉さま。す・ず・ち・ぃですよ。私の目を見て言って下さいね？」<BR>「い、いやあのね小鈴ちゃん」<BR>「んもう、言って下さらないんですか？最近お姉さま、ちょっと小鈴に冷たいです」<BR>「いやいやそんなことはないのよ？小鈴ちゃんはその、あたしのとっても大切な後輩でありまして」<BR>「この前も、ちょっと挨拶代わりのフレンチキスをしようとしただけで、全力疾走で逃げちゃいますし」<BR>（フレンチキスは人前の挨拶に使う程度の火力じゃねえー！）<BR>「そうだ！今ここでしちゃいましょうか、フレンチキス」<BR>「えええええっ！？」<BR>「大丈夫ですよ、誰も見てないですし」<BR>「そりゃあ見てはいないけど、ほぼ全校生徒と職員の皆様方がリアルタイムで聞いてますよ！？」<BR>「フッフフフ…これで私たちの仲は、全校生徒及び先生方公認ですぅ」<BR>「確信犯かー！えっ、ちょっ、<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%84&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">パンツ</a>、パンツはキスに関係なっ――！うわぁん、誰か助けてー！学園のソドムで公開調教されるー！」</P>
<P><BR>「「はい、そこまで」」</P>
<P><BR>　扉をブチ破る音の後、女性二人分の低い声。それが、校内のリスナー達が聞いた本日最後の放送だった。</P>
<P>　なお、行方不明となっていた夕凪美奈萌はその後、緊縛されて体育倉庫に転がされていたのを無事に発見されたとのことである。</P>
<P>「もう…覚えてなさいよ、まひるーっ！」<BR>「なんであたしーっ！？」<BR></P>
<P><BR>　そして、叶先生と香澄という二大女傑におしおきされた小鈴は。</P>
<P>「あ、あきらめませんよー！」</P>
<P>――懲りてなかったと云う。<BR>　<BR></P>
]]></content:encoded> 
  </item>  
  <item rdf:about="http://blog.so-net.ne.jp/condition_deepblue/2006-11-22"> 
    <title>山囃子</title>  
    <link>http://blog.so-net.ne.jp/condition_deepblue/2006-11-22</link>  
    <description>&amp;nbsp;オリジナルのリハビリテーション。オリジナルだわ暗いわなので、無理して読まんでください。&amp;nbsp;追記：11/23 3:23 改訂</description>  
    <dc:subject>オリジナル短編</dc:subject>  
    <dc:creator>DEEPBLUE</dc:creator>  
    <dc:date>2006-11-22T06:39:45+09:00</dc:date>  
    <content:encoded><![CDATA[
<P>&nbsp;</P>
<P><a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%82%B8%E3%83%8A%E3%83%AB&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">オリジナル</a>のリハビリテーション。</P>
<P>オリジナルだわ暗いわなので、無理して読まんでください。</P>
<P>&nbsp;追記：11/23 3:23 改訂</P>
<P><a name="more"></a></P>
<P>&nbsp;</P>
<P>&nbsp;</P>
<P><BR>――幼いころ母に連れられていった山神様の<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%81%8A%E7%A5%AD%E3%82%8A&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">お祭り</a>は、ほんとうに楽しかった記憶がある。<BR>　遠くから聞こえる笛太鼓の囃子の音に、市の猥雑な人の声。<BR>　ムラ中に焚かれた明るい火に照らされて、踊るたくさんの淡い影たち。<BR>　今、そのひかりがどんなに遠くても。むかし自分がそのひかりの中にいたという記憶は、今もわたしを癒してくれている。</P>
<P>&nbsp;</P>
<P>　　　山囃子</P>
<P>&nbsp;</P>
<P><BR>　あるムラに、卑しいことを生業とした、ムラ中から蔑まれている女があった。<BR>　女は気立ての優しい女で、それが余所者であろうと誰彼構わず親切を施していたが、ムラの者はみな女のことが嫌いだったのでこれを感謝する者も無く、却ってあれこれ用事をいいつけては細かい難癖をつけることを楽しみにする者まであった。<BR>　なぜそこまで女を嫌うのかといえば、それは女の死んだ父母にわけがあった。<BR>　まだ女が小さい<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E5%AD%90%E4%BE%9B&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">子供</a>だった頃に、女の家が出した火が刈り取り前の田に移り、ムラ中が焼ける災難になったことがあったのだった。<BR>　両親はその火事で焼けて死んでしまって、小さい子供だった女一人が残されたのである。<BR>　一人の罪は一族の罪、と考える者の多かった時代のことだ。<BR>　ムラの者たちもまだ昔の恨みを覚えていて、そういうわけで彼女を嫌う者が多かったのである。<BR>　女は、もちろん自分の田などもっていなかったから、ムラを回って他人の嫌がる汚い仕事を手伝っては、鶏の餌のような雑穀をもらって過ごしていた。<BR>　例えばそれは、男でも辛い山仕事のような。</P>
<P><BR>　赤切れた手に息をかけながら、女は山を降りる。<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E8%83%8C%E4%B8%AD&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">背中</a>に追った背負い子には、薄積りの雪から掘り出してきた薪がくくられていた。<BR>　背に二俵ほどの薪を、女は暗いうちから山に出て、日が沈む頃にようやく集めきったのである。<BR>　ようようムラへ帰りついた女は、そのままどこかの家の庭先へと入っていく。女の住まう、河原の朽ち小屋ではない。小さいが、歴とした上百姓の家であった。<BR>　戸口を開けると、中では夕餉の用意をしているものか、醤油の匂いが竈の暖かい風とともにぷんと匂って、その日何も口にしていない女の腹を刺激する。<BR>　女は薄暗い土間を見渡して、竈の前にこの家の女房を見つけ声をかけた。<BR>「あの、言われた薪、持ってきました」<BR>「そうかい。そこに置いときな」<BR>　食事の支度で忙しなく動き回る女房は、振り返りもしないで言い捨てる。<BR>　女は、しばらく女房の次の言葉を待っていた。ムラの仕事を手伝う見返りに貰えるほんの少しの食い物が、女の唯一の“収入”なのである。<BR>　けれど。女房はそのまま仕事に戻ってしまって、それから一度たりとも女の顔を見ようとはしなかった。<BR>「あの……」<BR>　意を決して口を開く、その気勢を押し潰す勢いで、女房は荒々しい声を張り上げた。<BR>「なんだい！今日はくれてやるもんなんかないよ、この乞食娘が！自分の食い扶持くらい、たまには自分で何とかしたらどうだい！まったく、人が情けかけてやってりゃ、どんどん図々しくなりやがる」<BR>「……」<BR>　こんなことも、よくあることだった。<BR>　もともと何の約束もしていないのだから、女には反論の術もない。<BR>　否。<BR>　元来がこのムラで、女は何をされ何を訴えたとて、意見を聞いてくれる人などいないのである。<BR>　一つ、ぺこりと頭を下げてから、女は肩を落としてきびすを返した。<BR>　春や夏の山であれば、仕事のついでに山菜や木の実を採ってこれる。けれど初冬の山の食物は、獣が巣篭りのために粗方食っていってしまうのだ。その上今日は使える薪もなかなか見つからず、とても自分の食い物を探す暇はなかったのだった。<BR>　今日は、川の水を飲んでやりすごすしかない。それもまた珍しいことではないけれど、寒い空の下で一日働いた身には、とりわけ空き腹が染みた。<BR>　襤褸になって、片方の鼻緒の外れかけた草鞋を引き摺りながら女が庭から出ようとする。<BR>　と。<BR>　後ろから、女の名を呼んで呼び止める声があった。<BR>　それが自分を呼び止める声であると、女は少しの間気が付かなかった。いつもオマエか、アレか、あるいはコジキムスメとかヤクビョウガミとかばかりで呼ばれるものであるから、呼ばれた言葉が自分の名であることも、もう忘れかけていたのかもしれない。<BR>　振り返ると、女と同じほどの年であろう男がこちらに歩いてきていた。どうという表情も無い四角い顔は、知らぬ者なら怒っているかにも見えただろう。<BR>　女は、もちろん、この若者が別に怒っているわけではないことを知っていた。この男は、いつもこういう顔なのだ。<BR>　男は女のところにまで追いつくと、仏頂面も崩さぬままに、右手に無造作に握った青物を差し出した。<BR>「……クズもんだが。馬にくれたもんの、余りだ。それでよけりゃ、もっていけ」<BR>　それは確かに、男が言う通りのものなのだろう。黄色く色が落ちていたり、虫が食っていたりでいかにも形が悪い。馬の餌でなければ、畑で腐らせて土に還してしまうような部分の寄せ集めだ。食うことはできても、売り物にはならない。<BR>　それでも。<BR>「――ありがとうございます」<BR>　女には、貴重な今夜の夕餉であった。だから女の微笑みも上つらのものではなく、心からの感謝を顔に出したものである。<BR>　男は、この家の一人息子である。つまり家の中のあの女房の、息子ということになる。<BR>　若者は、このムラで唯一、あまり女のことを悪く言わない男であった。<BR>　まだ、女のいる世界が温かみに包まれていた娘の時分。女は共に遊んだムラの子たちのなかに、この若者がいたことを覚えている。<BR>　それが、別にどうと云うわけではないけれど。口に出してしまえば男に迷惑がかかるだろうが、胸に慰みとしてとっておくくらいは、きっと許されることではないだろうか。</P>
<P>&nbsp;</P>
<P><BR>　さて、このムラにも、祭がある。</P>
<P>　山の中腹に張り付いた小さなムラだから、畑として使える<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E5%9C%9F%E5%9C%B0&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">土地</a>はほんの僅かだ。<BR>　税を払い、自分たちが食べていく分に足りるものではない。<BR>　だからムラの殆どの者は猟をし、あるいは木を伐ってマチに卸したり炭を焼いたりして暮らしていた。<BR>　秋の祭は、収穫の祭。そして長い冬がようやく開けてのこの春の祭は、山の神へとその懐に踏み入ることの許しを願う、山の祭ということになっていた。<BR>　この日には余所からも大勢人が訪れて、夜店や巡業の演劇小屋を覗いていく。<BR>　いつもは小さくて寂しい山のムラであるここも、この日ばかりは、賑やかで楽しい場所になる。<BR>　女は、祭が好きだった。<BR>　もちろん、ムラ中から嫌われているこの女が参加することは出来ないから、遠くから様子を眺めているだけだけれど。それでも、ムラの賑やかな様子は、見ているだけの女にも伝わって彼女の心を暖めてくれるのだった。<BR>　まだ、自分に父と母がいて、何も知らない子供だったころ。一度だけ、自分があの中にいたことを覚えている。<BR>　父が、ひとつだけ赤いモチを買ってくれて、囃子の音が笑う空気の中で、自分も笑っていたのだった。<BR>　自分の中にある一番綺麗な記憶を、あの囃子はもってきてくれるから。だから女は、あの中で踊ることはできなくとも、祭の喧騒が好きだった。<BR>「そこの女」<BR>「――？」<BR>　話しかけられた気がして女が振り向くと、そこに、一人の男が立っていた。<BR>　浅黒く日に焼けた、若者とも壮年ともつかぬ面立ち。貴人と思しき、上等な服を纏っている。<BR>　この辺りでは見かけない顔だった。常であれば、ムラに見知らぬ人間が入りこんでいれば警戒される。けれど、今日ばかりは別だ。今日は祭で、近くのムラやマチまでから、大勢人が訪れている。<BR>　そもそも、女はムラの一員とも認められていない者である。だから、女が他人を怪しいだとか怪しくないだとか判断することもないのだった。<BR>「祭をやっていると聞いて、来たのだ」<BR>「やっていますよ。どうぞムラの中に。おいしい<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%81%8A%E8%8F%93%E5%AD%90&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">お菓子</a>の店も出ます。きらきらの提灯も並びます」<BR>「店か。すると、おそらく金を払わなくてはいかんのだな」<BR>「お金が、ありませんか？」<BR>「金が必要な暮らしではないからな」<BR>「そうでしたか」<BR>　上等な服装（なり）をして金がないと云う、その男の言を、女はいぶかしみもせずに真に受けた。<BR>「それでは、これをお持ち下さい」<BR>　市で売ればいくらかにはなりましょうと、女は懐から、その粗末な格好には不似合いの、上等の簪を取って差し出した。<BR>　それは、亡き母のものだった。<BR>　形見と云われれば、そう云うことになるかもしれない。事実、それは母が大事にしていた簪だった。<BR>　当時の家はもちろん全て、あの日のまっ黒い炎に成ってしまったから、手元に残った母の持ち物といえばこの簪くらいである。<BR>　一枚しかない<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E7%9D%80%E7%89%A9&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">着物</a>以外は自分の唯一の持ち物であるから、女はいつもこれを持ち歩いていた。<BR>　けれども、女はこの簪を、実はあまり好きではなかった。<BR>　母親が大事にしまいこんでいた簪に、幼き日の女は憧憬の念を持っていた。それが募って、ある日女は、黙ってそれを持ち出したのである。あとでまた、元に戻しておけば良いと考えていた。<BR>　しかし、娘であった女が帰ってみるば、それを返すべき場所も何もかも。<BR>　黒い火と、火を消そうとするムラの者たちの怒号に包まれていたのだった。<BR>　だから、この簪は女の罪悪感を喚起する。自分が黙ってこれを持ち出したから家は、ムラは焼けてしまったのではないか、と。<BR>　長じてから、そんな理屈はないものと知るようになっても尚、それは女の罪のしるしであり、女はそれが嫌いだった。けれどもやっぱり、それはもういない母との唯一のよすがでもあったから、女はそれを捨てることも壊すこともならずに懐に入れ続けていたのだった。家を失った子供のときから、ずっとそのままに。<BR>　手渡された簪をしばらく掌の上に載せたまま眺めていた貴人は、不意に女に視線を戻す。<BR>「お前は、祭にゆかんのか」<BR>「はい。私は、ここで見ているだけです」<BR>「この祭は、山の神に感謝をあらわす祭と云う。お前は、山に感謝はしておらんか」<BR>「いいえ。私が生きていられるのは、山の神様のおかげです」<BR>　山の仕事は危険で、つらいものが多かったから、ムラの者はこれを何かと女に押し付けた。<BR>　けれどもその仕事があるおかげで女はわずかでもムラの衆から食い物を得られるし、また山から木の実や山菜をこっそり採ってくることもできた。山から食べ物を採ってくるのは、一度ムラの者に見つかって、ひどく叱られ取り上げられてしまったことがあるから、見つからないよう着物の懐へ、少しだけ入れるだけのものであるけれど。<BR>　女の言葉に納得したのかしないのか、彼はそれ以上問うことはせずに女から貰った簪を懐に入れると、口を開く。<BR>「簪には、礼を言う」<BR>　すると。女の目は、驚いたように丸くなった。<BR>「どうした」と男が問うと、女は嬉しげに微笑んで言うのだった。<BR>「人からお礼を言われたのは、初めてです」<BR>、と。<BR>　ムラの方へと向かっていった男の背を、女はずっと見送っていた。<BR>　やがて貴人の姿が、群集に飲まれて消えるころ。風に乗って薄く、祭囃子の音が女の耳に届く。<BR>　その音は、女を誘っているかの如くに響いた。幼い頃にみた、あの美しい場所がここにあるのだと。<BR>　けれども。女はその声に、応えることはできないのだった。<BR>　毎年のことだ。それを寂しく思うには、もう女は、同じ事を繰り返しすぎている。<BR>　けれども今年の祭はいつもの祭よりも、少しだけ女には嬉しかった。<BR>　自分の代わりにあの簪が、祭の賑わいに入っていけていることが。</P>
<P>&nbsp;</P>
<P>　暑い季節が過ぎ、刈り取りと収穫の祭が終わってしまえば、ムラにはまた早々に冬が訪れる。<BR>　ただでさえ早い冬の、今年の雪はいつもより更に早かった。</P>
<P>「今日は男衆は寄合があるべ。さっさと飯食っとけなあ」<BR>　男が畑仕事を終えて家に戻ると、囲炉裏の端で菅を編んでいた母親がこちらを一瞥して、言った。<BR>「ああ」<BR>　短く応えて、座敷の縁に腰掛け草鞋を脱ぎながら、そういえばそんなものもあったと思い出す。<BR>　角屋の息子が、山の端で遊んでいて熊に食い殺されたのだ。役人も検分に来て、しばらくは騒ぎになったものだった。弔いの手伝いにも行ってきた。<BR>　冬篭りの<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E6%A0%84%E9%A4%8A&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">栄養</a>を集め損なった熊が、いつもよりも早い冬の到来に焦って里へ降りてきてしまったのだろう――と云うのは検分に来た役人の言であるが、ムラの衆はそれでは納得しなかった。<BR>　何しろ、今までは一度もそんなことはなかったのだ、というのがムラの年寄り連中の言い分だった。何よりも自分たちの経験をこそ信じるのが、年寄りたちというものだ。<BR>　熊が降りてきた理由は、腹が減ったのでも何でもいい。なぜそれが、今年に限って起きてしまったのかが問題であるのだろう。<BR>　今日の寄合は、この騒ぎについてのこれからの方策を話し合うためのものである筈だった。</P>
<P><BR>「山神さまのお怒りに触れたんじゃねぇか」<BR>　ムラの男衆が集まり、全員ほどよく酒も回ったところで曲屋の親父が口に出した言葉に、一同は視線を相交わす。<BR>「何でじゃあ。祭も毎年やっとるし、ワシら何も忌み事は侵しちゃいねえ」<BR>「ほら、あれだ。あの乞食娘が、時々山に入っちょろうが」<BR>　一人がそう言い出すと、周りも一斉に頷きを交わしだす。<BR>「奥山に入ったんじゃねえか、あの娘が」<BR>「女のけがれ山に持ち込まれて、山神さまがお怒りんなったってか？」<BR>「けど、綱ぁ張ってあるべよ」<BR>「だからワシらの女房ならやんねえ。けど、アレはバチカブリな娘だからよ」<BR>「ワシらだって、お社のお札貰ってなけりゃあ、綱の向こうには入んね」<BR>「トンでもねえ奴だな」<BR>「親子揃って疫病神だ。血は争えねえってもんだ」<BR>「元はヨソモンだろ、あの家は」<BR>「そうだ、爺さんの代に移ってきたんだ」<BR>　会議の中で、話は「あの娘がやったのではないか」と云う推定から、既に「あの娘がやったことだ」という確定へと移っていってしまっていた。<BR>「タヨリもねえのを今まで養ってもらった恩も忘れやがって、迷惑ばかりかけやがる」<BR>「ウチぁ、この前庭先に干しといた大根が無くなってたんだ。あれもあの娘かな」<BR>「他にいねえだろ、年中腹空かしとるようなコジキは」<BR>　男は、下戸であるので酒の代わりに白湯を入れた茶碗を口に運びながら、黙って年寄りたちの沸騰していく様を見送るだけだった。他の若い衆も、年寄りの意見に頷いて持ち上げてみせるか、男のようにただ黙って拝聴している者ばかりである。すでに、会議の趨勢は決まったようなものだった。<BR>　特に、小さい末っ子を失った角屋の親父の勢いは凄まじく、酒を何杯もあおってはあのコジキめ、コジキめと唸っていた。熊や山が相手では恨みようがないが、ヒトが相手となればいくらでも怨念の向けようはある。<BR>「いい加減、堪忍袋も緒が切れたな」<BR>「甘くしすぎた、あんなハグレモンに」<BR>「皆に迷惑をかけるようなんはな、もう仕様がねえな」<BR>　男が考え事をしている間にも、会議は進んでいたものらしい。名前を呼ばれた気がして、茶碗の中に落としていた視線を上げると、果たして席の全員の視線が自分に集中していた。<BR>「……すまん。なんだ？」<BR>「おいおい、眠っといたかい」<BR>「あの疫病神を、山神さまに捧げてお許し頂こうっちゅう話に決まったんだ。それでおめぇが、アレを山さ連れてけ」<BR>　老人たちにとっては、厄介払いもできて一石二鳥の案であるのだろう。<BR>　娘を救うことはもう出来ぬことだろうとは思っていたが、まさか自分が始末をつける役をかぶせられるとは考えてもみなかった。<BR>「なんで俺が」<BR>「おめぇ、ガキの頃よくアレと遊んでたじゃねえか。おめぇの言うことなら、アレも聞くんじゃねえか？」<BR>「そうだ」<BR>「そうだ」<BR>　一同が一斉に頷いて同意を表し、男は小さくため息をついた。</P>
<P>&nbsp;</P>
<P>「どこまでいくのですか？」<BR>「もっと奥だ」<BR>　山刀で下生えをかき分け乍ら、男は女を伴って尾根道を上っていた。<BR>　山仕事を手伝え、と云うと女はいつものように二つ返事で請け負ってここまでついてきたのであるが、いつもは立ち入らない奥へまで行き着くに至って、女の声にも不安が混じるようになる。<BR>　やがて二人の眼前に、木々の合間を渡る、幣紙を下げた荒縄が現れた。幣紙は春の祭に換えるばかりであるから、既にあらかた黄ばんで傷みきっており、半から千切れてしまっているものも多い。<BR>「行くぞ」<BR>「え……？でもここは、入っていけないところなのでは？」<BR>「大丈夫だ、札を貰ってあるから」<BR>　振り返りもせず、男は後ろ手に握った封紙を見せた。それを懐に戻してから、綱に向かって拍手を二回打ち、続けて二度頭を下げる。<BR>　女は、たどたどしくそれを真似た。<BR>　太い幹の一つに、札を千枚通しで打ちつけて、男は縄をくぐる。しばらく逡巡していた女も、慌てたようにその後を追う。<BR>　奥山には、もはや道と呼べるようなものはなかった。縄をくぐったこちら側の世界を、女はあの世のようだと思った。――あの世など、まだ見たこともないのに。<BR>「あの……」<BR>「何だ」<BR>「この前は、<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E9%87%8E%E8%8F%9C&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">野菜</a>、ありがとうございました」<BR>「別に、いい。捨てるもんだ」<BR>「でも、その前も何度か、くれました。魚とか、蜜甘とか」<BR>「全部、捨てるようなもんだ」<BR>　男の言う通り、それは半分猫に食われた魚であるとか、乾いて皮に皺の寄った蜜甘であるとかであった。<BR>　それでも、手伝いも言いつけずに女にモノをくれたのは男だけであった。女はその礼を、どう返したらいいのかずっとわからないでいたから、今日男に山仕事をいいつかって喜んでついてきたのである。<BR>　男のぶっきらぼうな返答に、女は言葉を継げることができずに黙りこむ。<BR>　今なら、話せるだろうか。子供のときに、一緒に遊んだ思い出のことを。<BR>　覚えていますか、と尋ねる。別に、喜んで頷いてもらわなくてもかまわない。「ああ」と一言返してくれれば、それでいい。いや、もう覚えてもいなくて、「そんなことあったか」と首を傾げるのであっても構わない。<BR>　けれども、もし顔を歪められてしまったなら。それは、見たくないものだと思った。<BR>　だから女は、ただ先をゆく男の背を追うばかりで、ついに何も言い出すことが出来なかった。<BR>「おい」<BR>　それから一刻ほども歩いたか。少々木がまばらになって、開けた場所に出たころ、男が始めて女に振り返った。<BR>「こっからは、先に行け」<BR>　道など知らぬものを、どうして先に行かせようと云うのか。それでも、逆らうことなど思いもつかない女は、小枝に傷ついた足を引き摺って男の脇を抜けようとする。<BR>　そのとき。<BR>「あうっ――！？」<BR>　突然左足から力が抜けて、女はその場に倒れこんだ。<BR>　なぜ突然、自分は倒れたのか。<BR>　それを考える前にひとまず立ち上がろうとして、そこでようやく、左の足首に走る痛みを知った。<BR>　痛みに震えながら視線を上げると、そこに山刀を握った男の姿があった。山刀の刃には真っ赤なものが一筋、伝っていた。<BR>「――」<BR>　なぜ、とは問わない。<BR>　あの黒い火の晩から、女の人生は理不尽の連続で成っていた。何故かと問い始めれば、一生が何故で埋め尽くされてしまう。<BR>　女にとっては、昨日凍りはじめた山に薪を取りにいけと言われたのと同じように、今日ここで死ねと云われた、それだけだった。<BR>　だから。<BR>「済まん」<BR>　男が、無表情のままに、哀しい目でそう言った理由も、女は問わなかった。<BR>　問わない代わりに、女は笑ってみせる。<BR>「謝ってもらったのは、生まれてはじめてです」<BR>　男はそれを聞いて、女が目にしたことのない表情で、女を見たのだった。</P>
<P><BR>　男の姿が見えなくなって、どれほど経ったか。<BR>　もう悲しくも痛くも、何とも感じはしなかったが、とにかくひたすらに寒かった。<BR>　笹むらでも何でも、風の凌げるところはないだろうか。何とかそこまで這っていって、せめて暖かく死ねないだろうか。<BR>　なんとか辺りを見回すも、ここらの下生えはとうに冬枯れに色を奪われて、無抵抗に風に流されているばかりであった。その枯れた色さえ、山の中にぽつんと開いた、この空き地にはまばらであるのに。<BR>　その、周りを見渡す視界の端に。女は、小さく光るものを見つけた。<BR>「……」<BR>　なぜだろう。<BR>　そんな小さなものが、自分を暖めてくれるはずもないのに。女は、残る命を搾り取るように、それへ向かって体を引き摺っていった。<BR>「――ああ」<BR>　腕を伸ばし、それの上に手を乗せて、吐息をつく。<BR>　それは、簪だった。あの祭の日に、ムラを訪れてきた貴人にやってしまった、母の簪。<BR>　手にした簪を見つめるその視界に、光が映る。簪の鈍い銀色ではなく、もっと遠くの方から、もっと暖かい光が。<BR>　光と一緒に女の意識に届いたのは、薄く風に混じった笛と太鼓の音であった。<BR>　思わず、立ち上がる。なぜだか、体の傷みも重さも消えていた。寒さももう、感じない。<BR>　簪を握ったまま、駆けるように進む。<BR>　幾重にも並んだ、提灯の光。大勢の、笑いあう人々。<BR>　そして櫓から降り落ちる、祭囃子の音の中へと。<BR>　女は、子供のときと同じ笑顔を浮かべて、混じ入っていった。</P>
<P>&nbsp;</P>
<P>　それから、ムラには雨が降った。<BR>　マチまで出る用事があったので晴れる日を待っていたけれど、二晩経とうと三日経とうと雨は一向に止む気配を見せないから、男は已む無く蓑傘をつけてマチに出た。<BR>　マチへ、稲藁で作った草履や傘を売りに行くのである。その金で、帰りに畑の肥料や正月の準備の品を買い付けてくる。毎年の、男の慣例であった。<BR>　雨が止まぬおかげで、傘は良く売れた。無事に正月の品も買い集め、肥料を運んでもらう約束もとりつけて、用事は全て済んだのだけれど。<BR>　それでも、雨は止まなかった。<BR>　水が増えて川を渡ることが出来ないまま、待合の小屋で三晩を過ごして明けた朝。ようやく日が顔を見せて、次ぐ日には水も引けて川渡しも商売を始め出した。<BR>　ムラまでは、そこから二日歩く。<BR>　マチの方では雨に流されてしまった雪も、山道を登るにつれむしろ雨に固められて白い石のようになり、男の足を鈍らせた。<BR>　算段よりも、五日遅れて――それでも男は、故郷には帰り着けなかった。</P>
<P>「――」</P>
<P>　ムラがあったはずの場所は、今はただ泥と雪が荒涼と広がっていた。<BR>　田圃も、家も。男が育ち、見慣れてきていた風景は、すべて灰色の泥の底に埋もれていた。<BR>「お前」<BR>　声を掛けられて、振り向く。そこには、見慣れた役人の顔があった。<BR>「良く生きていたな」<BR>　頭を下げてから、ここしばらくマチに出ていたことを告げる。<BR>「それは、幸運であった」<BR>　ムラは。<BR>　この雨で山の雪が崩れ、土砂とともに川を下ってきて、ムラを飲み込んでしまったのだと云う。<BR>　あっと云う間のことだったのだろう。積もった雪で逃げることもままならぬまま、小さなムラは何もかも、土と雪とに押し流されてしまったと。<BR>「ムラを移るのであれば、寺へ行って届を書いてもらってくるのだな」<BR>　役人はそれだけを告げて、踵を返してしまった。行く先に数人の人足姿が見えるのは、役場の仕事でこの山崩れを調べに来たのに違いない。<BR>　里山の更に奥。うっすらと煙る山霞に覆われた絶峰。女を連れて行った奥山からは、冷たい颪の風が吹き付けていた。<BR>　茫然とムラを見下ろす男の耳に、そのとき風に乗って山の頂の方からか、囃子の音が囁き届く。<BR>　ほんの微かな、太鼓や笛の音。それに混じ入る朗らかな女の笑い声を、男は確かに聞いた気がしたのだった。</P>
<P>&nbsp;</P>
<P>&nbsp;</P>
<P><BR>　雪が融けるころ。山に入った一人の猟師が、女の躯をみつけたと云う。<BR>　子供の背ほどの、石の祠。猟師が山に入るたびに拝んでいく、その小さな社の傍らに、女の躯は倒れていた。<BR>　雪に覆われていたためか、躯はほとんど傷んでいなかった。眠るように穏やかな死に顔をした、その女の両手には。<BR>　鈍い銀色をした簪がひとつ、大切に胸に抱くように、包まれていたということだった。<BR></P>
<P>&nbsp;</P>
<P><BR>&nbsp;</P>
<P>山囃子（やまばやし）</P>
<P>　山中で深夜どこともなく神楽の囃子がすることがある。遠州亜多古ではこれを山ばやしといい、狸のわざとしている。熊村では日中にもこれを催すことがあって、現に狸が腹鼓を打っているのを見たという者さえある（秋風帖）。</P>
<P><BR>　柳田國男『妖怪談義』より</P>
<P><BR>&nbsp;</P>
]]></content:encoded> 
  </item>  
  <item rdf:about="http://blog.so-net.ne.jp/condition_deepblue/2006-10-01-1"> 
    <title>祐巳ちゃんにセクハラし隊</title>  
    <link>http://blog.so-net.ne.jp/condition_deepblue/2006-10-01-1</link>  
    <description>原作：マリア様がみてる タイトル：祐巳ちゃんにセクハラし隊備考：白薔薇伝統芸能</description>  
    <dc:subject>マリみてＳＳ</dc:subject>  
    <dc:creator>DEEPBLUE</dc:creator>  
    <dc:date>2006-10-01T15:32:47+09:00</dc:date>  
    <content:encoded><![CDATA[
<P><FONT size=4><FONT size=3>原作：マリア様がみてる <BR><a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%AB&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">タイトル</a>：祐巳ちゃんにセクハラし隊<BR>備考：白薔薇伝統芸能</FONT><BR></FONT></P>
<P><FONT size=4><a name="more"></a></FONT></P>
<P><FONT size=4></FONT>&nbsp;</P>
<P><FONT size=3>『祐巳ちゃんにセクハラし隊（略称・セクし隊）』</FONT></P>
<P><FONT size=3>　そんな一文が書かれた<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%83%9B%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%88&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">ホワイト</a>ボードを支持棒で<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%B3&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">バンバン</a>叩きつつ、白薔薇さまが口を開く。<BR>「ではただ今より第一回セクし隊定期会合を始めたいと思いまーす」<BR>　横の志摩子さんが、パチパチと手を叩く。叩きつつ由乃の方を凝視してくるので、由乃もやむなく小さく拍手した。<BR>――なんで私、ここにいるんだろう…。<BR>　なんでも何も由乃はいつも通り掃除を終えて薔薇の館に顔を出しただけなのだが、館には白薔薇姉妹しかおらず、何時の間にか始まっていた会議に何時の間にか仲間にいれられてしまっていた。どう考え直してみても、反省点が見当たらない。<BR>「まずは」<BR>　白薔薇さまである佐藤聖さまがホワイトボードに赤字で“<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%B9%E3%83%B3&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">レッスン</a>１”と記す。<BR>　続けてその横に書き加えたのは、<BR>「実践」<BR>と、その言葉通りの単語だった。<BR>「以上です」<BR>　隣で志摩子さんが、「なるほど」と真剣な顔で頷いている。もう、どうすればいいんだこれ。</FONT></P><FONT size=3>
<P><BR>　そして、なし崩し的に次の日。私たち３人は、<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E6%95%99%E5%AE%A4&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">教室</a>にいる祐巳さんを覗き込む構図となっていた。<BR>　もうやぶれかぶれで「逃げてー！」とか叫びつつ祐巳さんの手を曳いて一緒に逃げようかと考え出したころ、白薔薇さまが私の肩に手を置いてにやりと笑う。<BR>「一番手。由乃ちゃん、いっ<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%83%81%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%83%8A&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">チャイナ</a>？」<BR>「あう……っ」<BR>　どうでもいいが、親指を人差し指と中指の間に挟むな。どこまでセクハラ大将軍なんですか、アナタは。<BR>　隣では志摩子さんが、「がんばって」って顔で頷いて拳を握りしめている。志摩子さんには悪いが、すごく頑張りたくない。<BR>　しかし、もはや逃げるタイミングは失われてしまったので、仕方ない。席に座る祐巳の<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E8%83%8C%E4%B8%AD&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">背中</a>にそろりそろりと近付きつつ、日本人ていうのはほんとに場の空気に逆らえない人種だなぁとか由乃は考えた。<BR>「――ゆっ、祐巳さんっ！」<BR>「ひきゃぁあっ！？」<BR>　背中から、思い切り抱きつく。さらには抱きつくふりをして、胸に両手を回すのも忘れない。<BR>　島津由乃。やるとなったら、とことんやる主義の女である。<BR>「白薔……じゃないっ、よ、由乃さん！？」<BR>（――あれ？）<BR>　パニクって暴れる祐巳さんを抱きしめるうち、由乃の中に得も言われぬ感情が沸いてくる。<BR>　安眠マクラのような絶妙の弾力感に併せて、嫌がって暴れる子猫を抱えているような湧き上がる苛虐心。<BR>　これは。<BR>　これが、白薔薇さまの見ていた世界――。<BR>「よっ、由乃さん？まだ揉んでるよ？ちょっと？」<BR>　それにしても、祐巳さんはいい匂いだなあ。<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%83%9F%E3%83%AB%E3%82%AF&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">ミルク</a>っぽい匂いって云うか。<BR>「由乃さんっ！？これ以上の時間は淫行罪だよっ！？うはぅっ！耳！？耳に鼻息が！たっ、たすけてみんなっ、なんでちょっと嬉しそうに遠巻きに見てるだけなの！？」</P>
<P><BR>　すっかり堪能して「どうよ！」という顔で帰ってきた由乃を迎えたのは、白薔薇二人のため息であった。<BR>「由乃さん、貴女にはガッカリです。あの程度で、祐巳さんを濡らせるつもりなんて」<BR>「ぬっ、濡らせるって」<BR>　あくまで真剣な顔の志摩子さんに、むしろ由乃の方が赤面して引く。身も心も。<BR>「あの程度なら、祐巳さんはお姉さまに毎日やられてすでに免疫がついています。私たちは、常にその先を見て不断の努力をしていかなければならないのだと思います」<BR>　政治家の演説のようなことを言い出す志摩子さん。<BR>「まったく、志摩子の言う通りだね。志摩子、白薔薇の力の一端、見せてやりな」<BR>　頷いて教室に入ってゆく志摩子さんの背中を、白薔薇さまは信頼に満ちた瞳で見送っていた。<BR>「由乃ちゃん、見ておいで。最短の時間で、最大の効果。それが白薔薇の戦い方だよ」</P>
<P><BR>　志摩子さんは、由乃がそうしたようにつつっと祐巳さんの背後に忍び寄ると、とん、と背中に手を当てて微笑む。<BR>「祐巳さん、ごきげんよう」<BR>「あっ、ごきげんよう志摩子さ……！？」<BR>　無防備な笑顔で挨拶を返しかけた子狸、もとい子羊の祐巳さんは、急に顔に血を上らせて両手で胸を押さえつけた。<BR>「え？どうしたの、祐巳さん？」<BR>「う……ううんっ何でもないっ！ご、ごめんね志摩子さんっ、私ちょっと<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%83%88%E3%82%A4%E3%83%AC&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">トイレ</a>っ！」<BR>　真っ赤になってトイレに駆け込んでいく祐巳さんを、志摩子さんは我が子を見守る母親のような慈愛の視線で見送ってから、こちらに帰ってくるのだった。<BR>「腕を上げたね、志摩子」<BR>「いえ、まだお姉さまには到底及びません」<BR>「え？え？今、志摩子さん一体何を…」<BR>　一人わけのわからぬままの由乃に、白薔薇さまが説明してくれた。<BR>「ブラだよ。志摩子はあの一瞬で、服の上からブラのホックを外してみせたわけさ」<BR>「えっ、えー！？」<BR>　秘技・服の上からブラ外し。<BR>　セクハラを極めたものが最後にたどり着くという、禁断の奥義のひとつである。<BR>「対象の祐巳ちゃん本人にも自分の仕業と気取られることなく、祐巳ちゃんの恥ずかしがる顔を堪能できる……志摩子、なかなかやるじゃない」<BR>　白薔薇さまのお褒めの言葉に、志摩子さんはただ優雅に微笑みを返してみせるのだった。<BR>　なんだこの姉妹。</P>
<P><BR>「さて。志摩子にそこまでやられちゃ、私も本気を出さざるを得ないね」<BR>　ポキポキと指を鳴らして、気合を入れる白薔薇さま。<BR>　その視界に、丁度お手洗いから戻ってきた祐巳さんの姿が映る。<BR>「じゃ、見ててね二人とも」<BR>　言い残して、祐巳さんの方へと歩き出す白薔薇さま。その歩みはごく自然で、それゆえにこそ、これから為すことへの深い自信が感じられた。<BR>「あれっ、祐巳ちゃんごきげんよー」<BR>「あっ！白薔薇さま、ごきげんよう！」<BR>　嬉しそうに挨拶する、祐巳さん。ぱたぱたと振られる尻尾が、幻となって見えるかのようだ。<BR>「どうしたんですか？あ、志摩子さんに御用ですか？」<BR>「いや、ちょっとね――」</P>
<P>　瞬間。<BR>「！？」<BR>　白薔薇さまの姿が、消えた。</P>
<P>　気付いたときには、白薔薇さまの姿は、祐巳さんの後ろにあった。いつの間に、すれ違ったのだろうか。動きが全く見えなかった。<BR>　祐巳さんにとっても、それは同じであったらしい。目をまん丸くさせて左右を見回した後、ゆっくりと振り向く。そこではじめて白薔薇さまの姿を捉えて、目を白黒させていた。<BR>「偶然通りかかっただけ。じゃあまたねー祐巳ちゃん」<BR>「は、はい……ごきげん、よう……？」</P>
<P><BR>　祐巳さんの姿が教室の中に消えてから、由乃たちは慌てて白薔薇さまに合流する。<BR>　一体、何が起こったというのだろうか。白薔薇さまの見せた信じ難い体術はともかくとして、その後の祐巳さんの様子には志摩子さんのときのようにおかしな様子は見られない。<BR>　あれで一体、何がどうなったって云うんだ？<BR>「ふふっ……見てごらん」<BR>　会心の笑みを浮かべつつ、自らの<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%88&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">スカート</a>をたくしあげる白薔薇さま。そこには、白薔薇さまのイメージには甚だそぐわない、ピンクの可愛らしいクマさんぱんつがあった。<BR>「こっ、これは……祐巳さんの今日のぱんつ！」<BR>「ええっ！？」<BR>　なんで志摩子さんが今日の祐巳さんのぱんつを知っているのかは置いといて、とりあえずそこにある事実に由乃も驚きを隠せない。<BR>「しかも、祐巳ちゃんは今、私のはいていた黒のティーバックをはいている」<BR>「ゆっ、祐巳さんが黒……ティーバック」<BR>　奇跡を目の当たりにした表情で、志摩子さんが口元を抑える。鼻血らしい。<BR>「そう。こうして祐巳ちゃんの温もりに私が包まれるとともに、私の匂いを祐巳ちゃんに染み込ませる……まさに一石二鳥。これぞ超白薔薇奥義・ギガンティックパンツドリーム！」<BR>「素晴らしいです……お姉さま」<BR>　一片の後ろめたさもない表情で高らかに語る、エロ忍者。<BR>　最低の嫌がらせもあったもんだった。</P>
<P>「……さっきから、何か変だと思ってたら……」<BR>「――っ！？」<BR>　低く抑えられた、その声の方へ振り向く一同。<BR>　そこには――多分、ティーバックが食い込んで歩きづらいのだろう。股間の前後辺りを手で抑えつつ、ひょこひょことした足取りで近づいてくる祐巳さんの姿があった。<BR>　そして、真っ赤になったその顔には、ありありと。<BR>　祐巳さんには滅多に見られない、本気の怒りの表情が浮いていた。<BR>「もうっ、ぱんつ返してくださいーっ！」<BR>「わぁいっ、祐巳ちゃんが怒ったー」<BR>「ごっ、ごめんね祐巳さんー！」<BR>　拳を振り上げる、祐巳さんに。<BR>　由乃たちはとりあえず、一目散に逃げ散ったのだった。</P>
<P><BR>　その後セクし隊は、悪行の程を祐巳にチクられ、山百合会の法（ロウ）紅薔薇さまとそのつぼみである女夜叉によって総員ボコボコにされたうえ解散とあいなった。<BR>　紅ファミリー、強し。</P>
<P><BR>「祐巳さん祐巳さん、今私、すごいもの見た」<BR>　美少女を撮るときの高揚した顔以外には滅多に感情を動かさないクールビューティー蔦子さんが、珍しくショックを受けた顔をしてやってくる。<BR>「今、文字通り首に首輪とロープつけられた白薔薇さまが、紅薔薇さまに曳かれてうなだれて歩き去っていったんだけど」<BR>　びっくりして、思わずシャッター切っちゃったわと云う蔦子さん。すでに条件反射になっているらしいところが、流石と云えた。<BR>「うん……せめて公表はしないであげて、蔦子さん。武士の情けで」<BR></p></FONT><FONT size=4>
<P></p></FONT>&nbsp;
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  </item>  
  <item rdf:about="http://blog.so-net.ne.jp/condition_deepblue/2006-10-01"> 
    <title>俺たちは天使じゃない</title>  
    <link>http://blog.so-net.ne.jp/condition_deepblue/2006-10-01</link>  
    <description>&amp;nbsp;原作：マリア様がみてる タイトル：俺たちは天使じゃない 備考：尾篭。</description>  
    <dc:subject>マリみてＳＳ</dc:subject>  
    <dc:creator>DEEPBLUE</dc:creator>  
    <dc:date>2006-10-01T15:28:26+09:00</dc:date>  
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<P>&nbsp;</P>
<P>原作：マリア様がみてる <BR><a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%AB&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">タイトル</a>：俺たちは天使じゃない <BR>備考：尾篭。 <BR></P>
<P><a name="more"></a></P>
<P><FONT size=4></FONT><BR><BR>「ええい、いつまでも夢見てるんじゃないわよっ」 <BR>「由乃さまこそ、間違っています！」 <BR>　怒鳴りあう由乃と可南子ちゃんとの間に、丁度<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%83%93%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">ビスケット</a>の扉を開いて帰ってきた祐巳さんが慌てて割って入ってきた。 <BR>「ちょっ、ちょっとどうしたの由乃さんも可南子ちゃんも！？　ケンカしちゃダメだよ」 <BR>「ああ、丁度良かったわ祐巳さん。なんか、可南子ちゃんが絡んできて」 <BR>「だって、由乃さまが祐巳さまのことを愚弄なさって」 <BR>「愚弄なんてしてないでしょ！」 <BR>　また言い合いになりそうな二人の間に、祐巳さんが慌ててわが身で割って入る。ああ、まったく。祐巳さんはいつも通りに、お人好しな行動にかけては由乃以上の青信号であった。もっとも、会話の内容で自分が関係している話題だってわかってということもあるかもしれないけれど。 <BR>「ちょっ、ちょっと待ってってば！ちゃんと話して。でないと、わかんないよ」 <BR>「だから……」 <BR><BR>　いつも通りに、薔薇の館の<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%91%E3%83%BC&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">ヘルパー</a>さんとしてやってきた可南子ちゃん。そんな彼女に、何の気なしに由乃は言ったのである。 <BR>「ああ、可南子ちゃん。もうちょっと待ってて。今、祐巳さんお<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%83%88%E3%82%A4%E3%83%AC&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">トイレ</a>だから」 <BR>　それに対し。可南子ちゃんは顔色を変えて、叫んだのだった。 <BR>「祐巳さまは、トイレなんか行きません！」 <BR><BR>「……」 <BR>　魂が<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E6%B8%A9%E6%B3%89&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">温泉</a><a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E6%97%85%E8%A1%8C&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">旅行</a>に出かけてしまった態の祐巳さんを傍らに、早くも由乃と可南子ちゃんの第２ラウンドが始まっていた。 <BR>「もう！だから神聖視するにも程があるって言うのよ！」 <BR>「神聖なものを神聖に見て何が悪いんですか！むしろ、神聖なものを不当におとしめる方が罪深いです！」 <BR>　二人の、その剣幕に。 <BR>「……いや、あのね可南子ちゃん」 <BR>　魂の湯治を緊急中止。トンボ帰りでハッと自分を取り戻した祐巳さんが何とか仲裁を続けようと声をかけるも、すでに<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%83%95%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%AB&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">フルスロットル</a>に入った二人は止まらない。 <BR>「だから、祐巳さんだってトイレは行くし、もちろん大だってするのよ！いやむしろ、さっきも大！おっきい方をしてきたのよ！どっかんどっかんとね！」 <BR>「ええっ、違っ……！？」 <BR>「いやあああっ！やめてください！聞きたくないっ！」 <BR>　両耳を抑えて、髪を振り乱す可南子ちゃん。だが由乃は、舌鋒を緩めない。ここでちゃんと言っておいてあげた方が、将来のこの子と祐巳さんのためなんだ、と。 <BR>「祐巳さんも！このわからずやに、言ってやんなさいよ！自分史に残るような凄いのが出たって！大きすぎて流れなかったんだって！このリリアンの地に黒部ダムを築――」 <BR><BR>　ぼこっ、ぽかっ <BR><BR>「……あいたた……なにすんの祐巳さん……」 <BR>「……祐巳さま……痛い」 <BR>「二人とも。いいから、話聞こう。ね？」 <BR>　胸元でぐーを握ったまま、凄んでくる祐巳さん。ちょっと怖い。小動物の狸とて、あれで肉食の野生生物なのであることを教えられる一時だ。 <BR>「「……はい」」 <BR><BR>「……だから、ね、可南子ちゃん。私は、ただの人間なんだよ。天使でも、神様でもないの」 <BR>　穏やかに諭す祐巳さんの前で、可南子ちゃんは哀しげにうつむいてじっと話を聞いている。 <BR>「そうよ。おっきい方もするのよ。おっきいのを」 <BR>「ちょっと由乃さんは黙ってて」 <BR>　微妙に殺気の篭った声に、由乃は怯えて口を引き結んだ。 <BR>「とにかくね。おトイレしない人なんて、そんなのは」 <BR>　説得を続ける祐巳さんに、由乃は腕を組んで、うんうんと無言の頷きを持って同意を表すことにする。 <BR>「お姉さまくらいのものだよ」 <BR>「うん。ちょっと待って祐巳さん<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">ストップ</a>」 <BR><BR><BR>「ごきげんよう……どうしたんですか、皆さん」 <BR>　山百合会の常識を守る砦として由乃が宇宙人二体（タヌキ型と３ｍ型）と戦っているところへ、扉を開いて入ってきたのは志摩子さんの妹、乃梨子ちゃんだった。 <BR>　事情を説明すると、乃梨子ちゃんは呆れた視線を祐巳さんと可南子ちゃんの二人に向ける。 <BR>「あのですねえ……お二人とも、昔の<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%AB&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">アイドル</a>のファンじゃないんですから」 <BR>「でも……」 <BR>「だって……」 <BR>　さすがは、山百合会の良識担当。彼女はこっち側の人間だ。 <BR>　日本人形みたいにさらさらの髪の毛を掻いたかと思うと、説き伏せるように可南子ちゃんの肩に手を置く。 <BR>「人間、誰でもトイレくらいには行くんですよ。祐巳さまだって、祥子さまだって」 <BR>　しょげる二人の顔を覗き込んで、乃梨子ちゃんは優しく微笑んだ。 <BR>「志摩子さんが特別なだけなんだから」 <BR><BR>　なんだってー　だってー　だってー　てー（エコー） <BR><BR>「お前もか木地山コケシ」 <BR>「木地山コケシ……？」 <BR>「あ、ごめん。<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=condition_deepblue:000272075421&k=%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%82%AF&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">ショック</a>でつい、日頃の深層心理が」 <BR>「なお悪いです……まあいいです、別に」 <BR>　乃梨子ちゃんは、自分が悪く言われることには比較的寛容だ。その分、志摩子さんへの悪意に対しては一切の容赦が無いが。 <BR>「なんですか。志摩子さんの神聖性に何か疑問が？仏罰が下りますよ」 <BR>「なんでキリスト教徒に疑問を挟んで、仏罰が下るのよ」 <BR>「うるさい。そんなだから、琉球民族を虐待するんです」 <BR>「あんだとう！？元はと云えば、あれは幕府の締め付け政策が悪いのよっ！」 <BR><BR><BR>「……なにしてんの」 <BR>　４人で４すくみ的に言い争う由乃たちに、扉を開けた薔薇さまの三人――すなわち祥子さまと令ちゃん、志摩子さんの三人が呆然とした表情をした。 <BR>　事情を説明すると、祥子さまと志摩子さんはがくりと脱力する。 <BR>「祐巳。可南子ちゃん。ちょっといらっしゃい」 <BR>「乃梨子、ちょっと……」 <BR>　妹たちを伴って、扉の外に出て行く薔薇さま二人。それぞれの家族会議で、きっと宇宙人たちを更正してくれることだろう。祥子さまと志摩子さんの脳みそも微妙に宇宙住まいので若干不安はあるが、もうそこまでは責任もてない。 <BR>「由乃」 <BR>　ただ一人残った令ちゃんが、労しげな笑顔で近づいてきた。 <BR>「ああ、令ちゃん。もう、仕方ないわよねえ祐巳さんたちも」 <BR>「恋は盲目、よね。でも、その話と江戸時代の薩摩藩の政策が何の関係あるの？」 <BR>「それは忘れて」 <BR>　自分と令ちゃんのためにお茶を淹れるべく流しに向かいながら、由乃は背中で応える。 <BR>「まったくねえ。そんな、天使だからおトイレしないなんてそんな……天使……由乃……」 <BR>　背後で、令ちゃんのオーラが不穏なものに変化するのを由乃は感じた。 <BR>　あんた、ちょっと前までわたしのシモの世話とかもやってくれたでしょうが。 <BR>「……いや、でも……でも、由乃のなら……そうね、それなら……そうよ、汚くなんか」 <BR>　令ちゃんの独り言が、解答に近づきつつあるのか納得の色合いを帯びてくる。――信じてるからね、令ちゃん。令ちゃんだけは、地球の人間だよね？ <BR>　やがて令ちゃんは、悟りに至ったような喜びに満ちた声で高らかに声を上げる。 <BR><BR>「うん、飲める！由乃のなら私、飲めるから！」 <BR><BR><BR>　由乃アッパーはパンチ力。 <BR>　剣道で打撃技には慣れてるはずの令ちゃんはまともにこれを食らって、「きゃうん」とか鳴いてのけぞったのだった。 </P>
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